主体的な行動が北海の鍵 高校サッカー
第100回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。北海道代表の北海は29日の1回戦で長崎代表の長崎総合科学大学附属と対戦。北海のチームの特長と注目選手を紹介します。
■主体性がチーム力を向上させる
北海は「素晴らしい選手である前に素晴らしい人間であれ」という言葉をモットーとしています。そして、人としての成長を目指す中で選手たちがいかに主体的に取り組むかを大切にしています。チームは主体性を育て、伸ばすための手段の一つとして、「ボトムアップ方式」を採用。ボトムアップとは監督やコーチ主導ではなく、選手たちが主導となり練習などを行う方法です。試合のメンバー選考や練習内容の決定、他にも天気や試合分析など20弱のグループを形成し、選手が中心となりまとめています。
キャプテン伊藤麗生選手は「選手自身でチームの課題に気が付かないと主体的に行動できない。(主体的に動くことで)小さいことに気づく感覚が養われ、サッカーにもつながってくる。チーム内で改善点などを要求しあえることが強み」と話します。
全国大会で目指すプレーは「稲妻のような」最短最速でのゴール。地区大会は5試合で11得点2失点とバランスはよかったものの、PK決着が2試合。守備の時間が長くなる場面もありました。伝統の球際での強さを発揮し、守備から攻撃への切り替えを早くすること。そして、タッチ数の少ないパスやドリブルで相手のゴールに迫る、一瞬の隙をつけるようなプレーを意識しています。
そのためには相手の特徴や、自分の感じたイメージをいかに素早くチーム内で共有することができるか。指示を待つのではなく、選手たちが意見交換し、主体的に動くことができるかが重要となります。
■合言葉「啓史を全国に」
地区大会を勝ち上がる中でチームには合言葉がありました。それが「啓史を全国に」。啓史とは副キャプテンの川崎啓史選手(3年)のこと。「北海の頭脳」と評価される中心選手の1人です。
しかし、9月の試合で左足を骨折し、10月に行われた地区大会は出場できませんでした。その時にチーム内には川崎選手ともう1度サッカーをしたいという共通の思いが生まれ、より団結。全国大会出場を掴みとることができました。
川崎選手は現在、全体練習にも復帰。「地区大会に出られなくて、みんなが残してくれたという思いがあるので、恩返しじゃないが、そういう思いを持って戦いたい。気持ちのこもったプレーで戦うというところを見せたい」と意気込みました。
川崎選手の復帰が、目標とする17大会ぶりの全国での勝利へさらに勢いをつけます!
※写真はケガから復帰した副キャプテン・川崎啓史選手
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/札幌テレビ)