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陸上・女子中長距離の日本のエース田中希実が再び五輪の舞台へ ケニア武者修行も敢行した3年間の成果は

2024年8月2日 11:45
陸上・女子中長距離の日本のエース田中希実が再び五輪の舞台へ ケニア武者修行も敢行した3年間の成果は
ダイヤモンドリーグ・モナコ大会で3位表彰台の田中希実選手(写真:アフロ)
陸上・女子中長距離のエース、田中希実選手が2回目のオリンピックを迎えます。

パリオリンピックの出場種目は、前回と同じ1500mと5000mです。3年前の東京大会では、5000mは予選で自己ベスト更新の走りを見せながらわずかの差で決勝進出を逃しましたが、日本女子として五輪史上初めての出場となった1500mでは準決勝で日本女子初の4分切りの日本記録(3分59秒19)樹立。そして決勝でも3分台の好記録で8位入賞を果たす活躍を見せました。

田中選手は身長153cmと小柄ですが、大会の大小に関係なく常に積極的で勝ち気なレースを展開するので、トラック上ではひときわ大きな存在感を発揮します。

現在24歳。大学入学後はいわゆる部活ではなく、クラブチームで競技活動を継続し、大学2年目から今日まで父・健智さんがコーチを務め、二人三脚で世界のトップレベルを目指し続けています。

東京オリンピックを経験した田中選手は、さらなる強さを身につけるため、1500m、5000mの2種目に加え800m、まれに10000mにも出場。持久力、瞬発力など、求められる要素が異なる距離に並行して取り組むことで、それぞれの距離におけるスピード、強さを追求してきました。

同時に2023年からは自らプロ選手としての道を選び、アフリカのケニア合宿など、海外での練習や競技会出場を積極的に敢行。一方で、合宿には多くの書籍を持参するなど熱心な読書家として知られるようになり、ウェブサイトでのコラム執筆を開始するとその筆力でも脚光を浴びています。

この3年間は、そうした過程を経ながら一歩ずつ、強さを増してきました。

2022年シーズンは800m、1500m、5000mで夏の世界選手権オレゴン大会の出場権を獲得。5000m以外の決勝進出はなりませんでしたが、日本人女子として陸上世界選手権史上初めて3種目に出場し、5レースを走りきりました。

続く2023年シーズンも夏の世界選手権ブダペスト大会では1500mは準決勝敗退も、5000mでは予選で日本記録を更新し、決勝では日本勢26年ぶり、史上2人目の8位入賞。さらに世界各地で開催される世界最高峰のシリーズ大会・ダイヤモンドリーグ(DL)にも参戦。2023年9月のDLブリュッセル大会では世界選手権で樹立した記録をさらに大幅更新する5000m日本記録(14分29秒18)をマークして3位に入るなど、結果に結びつけ、2024年を迎えました。

2024年6月下旬の陸上日本選手権前には、5000mは日本陸連の選考基準を満たし代表内定を決めており、1500mでは決勝でパリオリンピック参加標準記録を突破しての優勝を果たし、即代表内定を勝ち取りました。

田中選手は「2種目を走れることは幸せと感じられる大会にしたい」とパリオリンピックへの抱負を語り、具体的な目標としては「1500mで3分55秒以内、5000mでは14分20秒以内で入賞(8位以内)」と掲げました。

どんなに好タイムを出しても、自分のなかに描くレースイメージを具現化できていない時は自身に対して厳しい評価を下す田中選手ですが、オリンピックや世界選手権、ダイヤモンドリーグではその実力をきっちり出しきり、結果を残してきたこともまた事実です。

田中選手はレース後、トラックに向かって、「ありがとうございました」と大きな声を発して一礼します。東京五輪の1500m決勝後は、いつもは厳しい評価の田中選手の表情に、充実感を漂わせていました。

果たしてパリオリンピックではどのような走りを見せ、レース後にどのような表情を見せるのでしょうか。田中選手の走りに注目です。


田中希実選手が出場予定の種目のスケジュール(パリ五輪公式HPによる)
◇女子5000m(日本時間)
 8月3日(土)1時10分 予選
 8月6日(火)4時10分 決勝

◇女子1500m(日本時間)
 8月6日(火)17時05分 予選
 8月9日(金)2時35分 準決勝
 8月11日(日)3時25分 決勝