【NFL】新時代に突入 世代交代で20代のQBたちが躍動
■2023年シーズンが華々しく開幕 NFL新時代の覇権争いスタート
最近4年間で3度のスーパーボウル進出、2度の優勝、『常勝軍団』の名が相応しい活躍で、新たな『キングダム(王朝)』を築いたチーフス。その『王』として君臨しているのが27歳の司令塔・QB(クォーターバック)、パトリック・マホームズ選手です。
■NFLで黄金時代を築こうとしているチーフスとそのQBマホームズ
昨季は、スーパーボウル制覇に加え、21世紀初の『リーグ&スーパーボウルMVP』をダブル受賞。リーグ最多タッチダウン(TD)&獲得ヤードを記録。さらに変幻自在のプレーで何度も“ミラクル”を起こすマホームズ選手は、『記録にも記憶にも残るQB』として人々を魅了し続けています。
20年以上にわたってNFLで『GOAT』(Greatest of all time=史上最高)の名をほしいままにしてきたQBトム・ブレイディさんがついに引退。マホームズ選手は名実ともに、新時代の『GOAT』の勲章を手に入れました。20年ぶりのスーパーボウル連覇へ死角はありません。
ただ、ちょっと待ってください。新陳代謝が激しく世代交代が早いNFL。気づけばマホームズより若くて勢いに乗るQBが『打倒マホームズ』に名乗りを上げています。中でも有力な3選手を紹介しましょう。
■チーフスとマホームズを止める最大のライバルはイーグルスのハーツか
イーグルスの背番号『1』、24歳のジェイレン・ハーツ。昨季、大躍進したイーグルスのQBでNFLトップクラス入りを果たしました。スーパーボウルでチーフスを最後まで苦しめた姿は記憶に新しいところです。
なんといってもその魅力は『脚力』。昨季は『(走ってボールを持ち前へ運ぶ)ラン』でQBトップの760ヤードを獲得。QBとして奪った『13TD』はNFL史上2位の記録です。また人間性も素晴らしく、今年の5月にはオクラホマ大学の大学院で人間関係学の修士号を取得。
2月にスーパーボウルで取材した際には、筆者の拙い英語にも丁寧に時間をかけて答えてくれました。QBマホームズ選手の対抗馬の筆頭として挙げさせていただきます。
■2021年ドラフト全体1位のローレンス
続いては、ジャガーズのQB、23歳のトレバー・ローレンス選手。2021年のドラフトで全体1位指名、その年のナンバーワンエリートです。高校時代から史上最高のQBと称され、クレムゾン大学時代にはチームを全米チャンピオンに導いた逸材。
プロ1年目はNFLの戦いに適応できず期待外れに終わりましたが、2年目の昨季は大学時代に絶賛されたその才能を開花させ、チームをプレーオフに導きました。
日テレジータスNFL中継解説者の森清之さんは、今季ジャガーズを優勝チームと予想しています。ブロンドの長髪をなびかせながらプレーする姿は惚れ惚れすること間違いありません。
■2022ドラフト最下位指名もその評価を覆すQB13.パーディ
そして、ラストは49ersのQB、23歳のブロック・パーディ選手です。昨季、マホームズ選手以上に全米の話題をさらった選手です。
それもそのはず、2022年のドラフトでは『最下位指名』された存在でした。全体の262番目に指名された『ミスターイレレバント(場違いな男)』として加入。
それでも、シーズン中にけが人が相次いだチーム事情の中、WEEK13から先発QBとして登場します。ほぼ誰も期待していない中、チャンピオンシップでケガをするまで、驚異の7戦全勝。派手さはないものの、安定感あるプレーで、チームのピンチを救いました。それだけでなく、49ersを2年連続のカンファレンスチャンピオンシップまで導きました。
しかしそのチャンピオンシップで右ひじのじん帯断裂という大けが。手術を余儀なくされました。それでもパーディ選手は今季のプレシーズンマッチに出場、開幕に間に合いそうです。この人生こそ、まさに『アメリカンドリーム』。今季は開幕から話題の中心になるでしょう。
■開幕戦は日本時間9月8日(金)午前9時20分キックオフ
開幕までのカウントダウンが始まった今季のNFL。開幕戦を実況する私の準備も佳境に入ってきています。
ただ、実況者にとっては、この準備の段階こそ一番ワクワクしている瞬間でもあります。
チーフスのマホームズ選手がNFLで20年ぶりの『連覇』を果たし、『王』の座を不動のものにするのか?あるいは、新時代のQBたちが待ったをかけるのでしょうか?2023年シーズンのキックオフが迫っています。