「1日も早く復帰を」ケガで長期離脱 焦る熊本ヴォルターズ主将を救った言葉
プロバスケットボール・熊本ヴォルターズの本村亮輔選手(27)。5年前、大学4年生の時にヴォルターズに入団。強靱なフィジカルを武器に1年目から試合に出続けてきたチーム唯一の生え抜き選手です。ここ2シーズンは、キャプテンとして悲願のB1昇格を託されました。
しかし昨シーズン、開幕からわずか3試合目で本村選手をアクシデントが襲います。相手選手と激しく接触したのです。
■本村亮輔選手
「相手がこっちのリングに攻めて来て、守っている時に僕はボールを持っている選手についていた。相手選手がドライブに来たので、止めに入っていた時に相手の頭が僕の顎に入って、そこで脳が揺れちゃって…」
「脳しんとう」を起こした本村選手はコートを後に。
■本村亮輔選手
「出血もあって、方向感覚というか目の前がぐらぐら、地面が平行なのに斜めに見えたとかあった」
翌日になっても症状は治まらず、長期の離脱を余儀なくされました。
その後、ほかの主力選手のケガもあり、チームは一気に苦しい状況に。1日も早く復帰し、力になりたい。焦る気持ちは日に日に高まっていました。
■本村亮輔選手
「チームのキャプテンとして一時、会場にも行けないという状況だったので、本当に皆には申し訳なかったですし、最初の頃は一番焦りがあったというか、早く戻ろうということを一番に考えていました」
そんな本村選手を救ったのは、指揮官の言葉でした。
■本村亮輔選手
「自分だけの体じゃないんだよっていうことを言われた。休む時はしっかり休まないと、 本当に人生に関わるからっていうことを言われた」
当時、ヘッドコーチだった遠山向人さん。本村選手にかけた言葉をこう振り返ります。
■遠山向人さん
「彼はバスケットプレーヤー以前に人間で、父親で、人生でもっと大切なことがあるので、それを大切にしなきゃいけないと言うのが一番の務めかなと思っていました」
今年3月、本村選手には第1子が誕生。チームに対する責任感が人一倍強い性格を理解した上で、まずは治療に専念してほしいと考えたのです。
■本村亮輔選手
「正直あの時期に戻ってたら、今こうやって生活しているかもわからない。またこうして子どもの顔を元気に見られたので、あの時そういった言葉をかけてもらってよかったなと思っています」
そして、ともにチームをけん引してきた仲間の存在も支えになっていました。ヴォルターズ5年目、副キャプテンの磯野寛晃選手です。磯野選手自身も、大ケガからの復帰を目指し別メニューで調整を続けていました。
■磯野寛晃選手
「ちょっと目を離した隙に頑張っちゃう人なので、自分のコンディションに素直になってもらうっていうのは、本当に大変だったなと思います」
ともにコートの外からチームを見つめる時間は、特別なものだったといいます。
■本村亮輔選手
「自分たちの会話というよりも、 自分たちを励ますっていうことよりも、 チームがどうなるかっていうことを考えいてたことが多かった。磯野選手が意外と情に厚い人間なんで、そこは僕もわかってますし、本当に助けられたなと感じてます」
昨シーズンは西地区3位に終わったヴォルターズ。支えてくれた人たちへの感謝の思いを胸に、悲願のB2優勝、そして、B1昇格へ。10月の開幕を迎えます。