【特集】「みんなに優しい”横綱”になりたい」180センチ・142キロの中学3年生が叶えたい夢(宮城・大河原町)
大河原町(宮城)の中学3年生・クリンミー光輝くんは、180センチ・142キロ。彼が、小学1年生で見つけた叶えたい夢について、取材した。それは”横綱”だー。
「はっけよい、のこった」「えーん」
9月、邪気を払うと言われる伝統の「泣き相撲」が行われた宮城・岩沼市内の金蛇水神社。
現役力士を相手にした子どもたちの相撲体験が行われるなか、会場を沸かせる1人の中学生が登場した。
クリンミー光輝くん)180センチ・142キロです
司会者)高校生?
クリンミー光輝くん)中学生です
時疾風関)178センチ・135キロです
宮城・栗原市出身の十両・時疾風関の胸を借りたのは、中学3年生のクリンミー光輝くん。
普段は宮城・大河原町の中学校に通うクリンミー君。
その体格のよさは、学校にいてもひときわ目を引く存在だ。
同級生が、力試しをすることもあるがー。
同級生
「(Qクリンミー君は強い?)強いですね」
それならばと、大人数で向かっていくが、中学生が束になってもまったく歯が立たない。
同級生
「(Qクリンミー君はどんな子?)がたいの通りいっぱい食べますし、優しい。立派な力士になって欲しい」
2009年、宮城・大河原町で生まれたクリンミー光輝くん。
お父さんはタイ出身の「ムエタイ選手」。
日本人のお母さんは「総合格闘技の選手」という家庭で、育った。
そんなクリンミー君が相撲を選んだのは、小学1年生の時。
ある力士との出会いがきっかけだった。
クリンミー光輝くん
「豊ノ島さんという元力士から『やってみない?』と言われてやったら、楽しくて好きになりました。お父さんはタイの国技(ムエタイ)だし、自分は日本人だから相撲は国技だし」
相撲の魅力にのめり込むと、そこからメキメキと力をつけたクリンミーくん。
数々の大会で実績を残し、この夏の全国大会では個人戦でベスト8に入った。
クリンミー君の強みは、180センチ・142キロの恵まれた体格。
その源は、お母さんの手料理だ。
大好物のから揚げをほおばると、土鍋で炊いた3合のご飯をおいしそうにかきこむ。
クリンミー光輝くん
「幸せです生まれてきてよかったなって」
母親の涼子さんは、毎日の献立に苦労しながらも、着実に成長する息子の姿を見守っている。
母親の涼子さん
「いっぱい量を食べるから、おコメに気を付けたりとか、コメ油使ったりとか、なるべくグルテンフリーとか。乳製品とかは取らないかな」
「(Qこれだけおいしいと言って食べてくれるのは?)たまにだったらいいけど、毎日だと大変。居酒屋やっているみたい」
力士への道を歩む者にとって、食べることは立派なトレーニングの1つ。
そして、家族で過ごす大切な時間でもある。
「おはようございます」
この日、訪れたのは、仙台市宮城野区にある相撲場。
中学校の部活動ではなく、宮城県内で活動する相撲クラブに所属し、稽古を重ねている。
クリンミー光輝くん
「(Qまわしをしめると気持ち変わる?)集中して気合が入ります」
そして、いざ稽古となれば、あどけなさが残る中学生の表情は一変。
土俵の上では、常に真剣勝負だ。
この日、胸を借りる相手は、6年前から指導を受ける監督。
体格では、クリンミー君が勝るものの、大学時代まで相撲に打ち込んだ監督にはまだ歯が立たない。
監督
「中学校1年生の時はなかなか試合にも勝てず、自分自身にも負けている場面多くあったんですけれど、3年生になって自分で勝ちたい・強くなりたいっていう気持ちが出てきてからは、試合でもどんどんいい成績が出てきた」
これまでの努力と成績が認められ、来年からは親元を離れて石川県の強豪高に相撲留学することが決まっている。
クリンミー光輝くん
「将来は、優しくて強くて負けなしの光って輝いて、みんなに優しいと思われる力士になりたいです。横綱になりたいです」
中学生にして、将来の目標をハッキリと口にするクリンミーくん。
国技館を沸かせる日が、遠くないかもしれない。