プロ野球独立リーグ「ルートインBCリーグ」は4月に開幕し、今季から参入する山梨ファイアーウィンズが初陣を迎えます。期待の戦力と、各選手の決意に迫りました。
■初のBCリーグ 今季は東西2部編成に
粉雪舞う3月5日。甲府市・武田神社で行われた必勝祈願で、県民球団「山梨ファイアーウィンズ」のシーズンが始まりました。
吉原大稀主将
「選手全員、きょうの日をワクワクして楽しみにしてきた。より一層気持ちが入るというか、覚悟が決まった」
今季から参戦するルートインBCリーグはプロ野球独立リーグの一つ。
関東5県と福島、長野で活動する7球団の編成に、山梨が仲間入りしました。
8球団となった今季のBCリーグは東西に分かれ、山梨は埼⽟武蔵ヒートベアーズ 、神奈川フューチャードリームス、信濃グランセローズとともに「BC-West」へ。
各球団は東西交流戦を含む58試合を戦い、地区優勝、そしてリーグ優勝を争います。
五島裕二監督
「どのチームも力があると思うので、チャレンジャーの気持ちでやっていきたい。『新規参入から優勝』という目標で、全力疾走で駆け抜けて戦っていきたい」
■台頭する若手 県出身の高卒選手たち
練習生を含む39人がスタメン争いを繰り広げる中、必死に食らいつくのは、県出身の高卒ルーキーたち。
富士学苑高出身の渡邉竣選手（18）は巧打のリードオフマン。
帝京科学大（上野原市）と戦った今季初のオープン戦ではチーム初安打を放ち、4打数2安打。果敢な盗塁も魅力の、機動力ある若武者です。
渡邉選手
「（自信があるのは）バッティング。広角に打てるところが自分の魅力。地元出身なので、人一倍このチームに対する思いは強い。しっかり結果を出して1番で居続けたい」
さらに、鋭い打撃でアピールを続けるのが、身延高出身の望月竜彦選手（18）。
高校通算本塁打は10本。帝京科学大戦でも早速、チーム初本塁打を放ちました。
望月選手
「自分はバットコントロールが持ち味。そこをもっと磨いて、一発でしっかり仕留めることを意識していきたい。一試合でも多く試合に出て、チームの優勝に貢献したい」
■NPBへの夢 「最短1年で行ける」
投手陣も、甲府城西高校出身の橘田純一選手（23）をはじめ、オランダでのプレー経験を持つBen Meyer（ベン・マイヤー）選手（27）など実力者ぞろい。
そんな選手たちには共通のある目標が―。
渡邉選手
「NPBに入団すること」
望月選手
「NPB入りは自分の目標」
橘田純一選手
「自分の目標はNPBに入ることなので…」
NPB（日本野球機構）12球団でプレーするためには、プロ野球ドラフト会議で指名を受ける必要があります。
これまでは高校、大学、社会人が主に指名を受けてきましたが、近年は独立リーグからのNPB入りも一般的になりつつあります。
望月選手もNPBを夢見て、独立リーグでの戦いを選びました。
望月選手
「大学進学とも迷ったが、独立リーグはNPBへ最短1年で行ける。NPBに入るという目標に近い方を選んだ」
■「きょう野球が終わっても悔いがないように」
そして、NPB入りへ強い覚悟をもって加入したのが、チーム野手最年長の保科圭伸選手（26）。
保科選手
「野球を始めたときからNPBの舞台で野球をしたい、活躍したいという思いで今までやってきた。（今季は）圧倒的成績を残してNPBに行く。それだけ」
高校、大学でレギュラー経験はないものの、NPBを目標に、大学卒業後の4年間は社会人や独立リーグでプレーしてきました。
27歳となる今季は、各球団に6人だけ許されているオーバーエイジ枠（2025年度で27歳以上）で加入。
オフシーズンで1年間の生活費をアルバイトで稼ぎ、キャンプに臨みました。
保科選手
「オフシーズンにバイトしているときはしんどいなと思うが、野球をやりたくてこの生活を選んでいるので、野球のためなら頑張れる。きょう野球が終わっても悔いがないように一日一日過ごしている。自分としては最後のシーズンと決めているので、かみしめながら野球をしている」
昨季終了後に挑んだジャパンウィンターリーグでは、本塁打2本を含む17安打を放ち、MVPを獲得。
勝負のシーズンは主軸としてチームを勝利に導き、自らNPBへの扉を開けます。
保科選手
「普通の数字ではだめだと思うので、4割5分、30本ぐらい。それぐらいを目指して頑張る。この年齢になっても夢を追わせてもらえているので、この環境に感謝してしっかり結果で恩返しができるように頑張りたい」
憧れのNPBへ―。選手たちにとって、挑戦の一年がいよいよ始まります。
山梨は4月5日、富士吉田市・富士北麓球場をホームに、独立リーグ日本一決定戦「グランドチャンピオンシップ」で優勝した強豪・信濃グランセローズを迎え撃ちます。
（「YBSスポーツ&ニュース 山梨スピリッツ」2025年3月23日放送）
