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「思うは招く」小さな手作りロケットに夢を乗せて…“ロケットじいちゃん”が子どもたちに伝えたいこと

2025年3月17日 17:00
「思うは招く」小さな手作りロケットに夢を乗せて…“ロケットじいちゃん”が子どもたちに伝えたいこと

今月9日。松山市で自作のロケットを作る教室が開かれました。教室を開いたのは、74歳の男性。子ども達とロケットじいちゃんの夢をのせた小さなロケット、いざ、リフト・オフ!です。

松山市に住む堀内章さん(74)。普段は、愛車のバイクでツーリングに行ったり、友人と一緒に畑で野菜を育てたり…とアクティブなおじいちゃんです。

そんな堀内さんの部屋の中には…

堀内さん:
「これがロケット教室でつくるロケット」
「北海道に行って。植松電機の植松努、私は先生と呼んでいるが、この方のところに学びに行った。ロケット教室をするために」

堀内さんが師と仰ぐのは、北海道でロケットや人工衛星を開発している植松努さん。

植松電機 植松努さん:
「宇宙開発の環境を提供するというのは、北海道にとってとてもいいことだと思う」

植松さんは、全国の子ども向けにロケットづくりを体験してもらう教室を開いていて、堀内さんは去年2月、松山で開かれた植松さんの講演を聞き、「コレだ!」と、感銘を受けます。

堀内章さん:
「子どもや若者のために、未来のある夢のある地域づくりをしたい。自分がやっていることと植松さんの考え方がちょうど(合った)あ、この人のやっていることを愛媛でやりたいという風に思った」

夢のある地域づくりを目指して

6月には北海道赤平市の植松電機で講習を受け、ロケット教室の講師「UEマイスター」の資格を取得、“ロケットじいちゃん”となりました。

堀内さん:
「本物と同じような構造。時速200キロで。0.3秒で40~50メーター上がる」
「ここにエンジンを着ける」
Q.エンジン?
「そう。火薬」
Q.こんな筒が?
「ええ。この下に取り付ける」

まるで少年のように熱く語る堀内さん。

仕事も、機械系?かと思いきや。

堀内さん(2015年12月取材):
「バレンタインホワイトデーひなまつり、こどもの日と次から次へと色々祭事が続くものですから1番ずっと忙しい時期ではある」

松山市内でキャラクターグッズやお菓子を製造する、株式会社ハートの社長を4年前まで務めていました。

堀内さん:
「ロケットもあくまで飛ばすことは手段。子どもたちに伝えたいことは“思うは招く”という。夢をあきらめないで思い続けると、それは叶うんだよっていうこと」

志を同じくする仲間たちと「えひめ夢プロジェクト」を設立しました。

堀内さん:
「ロケット組み立てが、前回あんまり時間が取れなかったので」

ロケット教室は今回で3回目、前回からの修正点をふまえ準備に余念がありません。

今治市で民泊や人材教育事業 菊間彰さん:
「広くあまねくいろんな人に夢を与えたいというプロジェクト」

事務局 公認心理師 高城直美さん:
「みんなが色んなこと、どうせ無理だと思うことがひとつずつできたら、なんかこう、楽しくなりませんか?で経済も発展していくような気もするし」

初参加 興居島に移住の元教師 髙橋伸一さん:
「なんか、サッと(メンバーに)入れてくれて。全ての子どもたちを輝かせるというプロジェクトになっていくんだろうな。日本全国の子どもたちが参加すれば、全員笑顔になると思う」

ロケット教室に参加する子どもたちは

ロケット教室の前日。ロケット教室に参加する松山市内の小学5年生、片岡京哉さんです。

片岡京哉さん(小5):
「この前買ったやつ」
Q.ゴールキーパーなんだ?
「今見習いで。ほとんどディフェンダーやってる」

サッカーの他にも、プラモデルやフィギュア、ゲーム、昆虫など大好きなことがいっぱいの京哉さん。ロケット教室には母親の美和さんが応募しました。

母・美和さん:
「体験をすることがたくさんできたほうがいいのかな、将来のためとかどういう風に生きていったらいいのかなというヒントだったり、人と付き合うこととか」

京哉さん:
「(ロケット教室は)ちょっと楽しみ。飛ばしたいのと、半分、作って持って帰りたい」

ロケット教室当日。参加者は、小学生から大人まで19人。中にはこんな子も…

松山市から 上松宗恭さん(小6):
「宇宙エレベーターをどのようにしたら作れるかっていう。愛媛大学工学部の中原真也教授と一緒に研究をしている」

京哉さんも、お母さんと一緒に会場に到着です。ロケット教室の最初に会場に流れたのは、植松努さんからのメッセージです。

植松努さん:
「皆は科学が発達した世界で暮らしているんです。なんたってきょう皆はロケット作れるからね。何でもできるから。これからも色んな夢をどんどん叶えてってほしいって思います」

自分で考え、工夫することが大事

さあ、ロケットづくりスタート!教室で作るロケットは、全長30センチほど。紙製の筒に、飛ぶ姿勢を安定させるための翼、パラシュートなどが組み立てキットになっています。

堀内さん:
「誰も私たちは教えない、作り方を」

この教室のポイントは、取扱説明書をしっかり読んで、自分の力でロケットを組み立てること。目標の達成に向け、考え、工夫する力を養います。

プラモデル作りが得意な京哉さん、歌を歌いながらノリノリで、組み立てていきますが…ロケットに積み込むパラシュートの畳み方で、躓いてしまいました

京哉さん:
「誰か!誰かここまで進んでる人…いない。ヘルプミー!」

ここにロケットじいちゃん、堀内さんの登場です。

堀内さん:
「こんな感じで大丈夫。これ、こうやって伸ばして」

どうしても分からない時には周囲を見渡して助けを求める。これも、ロケット教室の重要なポイントです。

松山城の城山公園に移動して…

菊間さん:
「エンジンをセットします」

発射台にスタンバイ。雲ひとつない青空へ、次々とリフトオフ!です。

時速200キロ、高度40メートルでパラシュートが開くと…降りてくるロケットを捕まえようと猛ダッシュ!

京哉さんのロケットも発射に向けスタンバイ完了です!

「3、2、1.発射!」
堀内さん:
「あぁー、あぁ、走れー!いけー!」

着地寸前でナイスキャッチ!ロケットは見事、京哉さんの元に帰ってきました。

京哉さん:
「パラシュート開かないかと思ったけど、開いて。飛んで、やったー!って思って。嬉しいなと思った」

それぞれの夢と願いを乗せ、空を舞った19体のロケット。

伊予市から男性:
「よかった!なんと大成功。大成功!」

宇宙エレベーターを研究 上松宗恭さん(小6):
「将来の夢は、科学で皆を幸せにできる科学者」

片岡京哉さん(小5):
「僕の将来の夢は消防士になること。みんなの役に立てる消防士になりたい」

堀内さん:
「色んなことをやることで自分はこれが好きなんだ、というものに出会ってほしい。本当は大人になってからが一番面白い。自分で自由にできる。自分で人生をつくるということ、生きるということは。それをずっと作っていってもらいたい」

最終更新日:2025年3月17日 17:00