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入院生活支えた“1枚のメモ”で一念発起!病を乗り越えたどり着いた「究極のフルーツサンド」

2023年10月5日 19:18
入院生活支えた“1枚のメモ”で一念発起!病を乗り越えたどり着いた「究極のフルーツサンド」
究極のフルーツサンド

インパクト大のフルーツサンド。作っている女性が大病を経験して見つけた新たな道。フルーツサンドで、幸せ届けます。

桃のサンドウィッチ。そして肉厚のメロンがドーン!とパンに挟まっています。

「#萌え断」と表現される断面、パンからはみ出しそうな、いや、挟まった果物が大きすぎてパンが曲がっています。

会社員の女性が“週末限定”で販売するこだわりのサンドイッチ

先月16日、松山市内のスーパーの一角で、販売の準備を進める女性。

店主・谷口綾耶さん:
「どうしていいかがわからん。普通に準備して大丈夫?」

カメラに少し緊張気味なのは店主の谷口綾耶さん。フルーツサンドの作者です。

この日は、中学生の娘さんも販売のお手伝いです。

松山市内を中心に週末限定で移動販売をしている「AIKA Ehime」。“果実を愛する”との思いから“AIKA”。生産者から直接仕入れる季節のフルーツをたっぷりと使ったフルーツサンドが人気で、SNSにもたくさんの“萌え断”写真がアップされています。

こちらのフルーツサンドは…「贅沢ぜんぶデラックス」

谷口さん:
「きょうが8種類かな?マンゴーも入ってて奥にメロンも入ってるんで」

イチジクにブドウ、シャインマスカットにマンゴー、バナナ、キウイ、みかん、そして奥にはメロン!これぞ、フルーツの玉手箱です。

綾耶さん、平日は会社員として働き、休日はフルーツサンドの店長。サンドウィッチは、前日の夜に、6時間かけて仕込んでいます。

購入者:
「一番最初に食べたのが多分イチゴだったんですけど、すっごくおいしくて私もはまってしまって」

購入者:
「フルーツサンドはここって決めて。出店があるたびに必ず来れるようにスケジュールを空けてお金も用意して頑張ってます」

谷口さん:
「自分が頑固なんで自分が納得できないものをご提供できないっていうのがあるので」

と、話す通り、仕上がりに納得がいかず、急遽販売を中止することもあるんだそう。

谷口さん:
「食べたいときに食べたいものを食べられないと、いてもたってもいられないというか」

きっかけは29歳で診断された“甲状腺乳頭がん”「人生の価値観や感覚が全て変わった」

綾耶さんの食へのこだわりは、過去の出来事が影響していました。

谷口さん:
「大病をしたことをきっかけに人生の価値観や感覚が全て変わった。甲状腺乳頭がんっていうものだったんですけど、喉の甲状腺のところに4.3センチぐらいの比較的大き目の(悪性)腫瘍ができてしまって」

6年前、当時29歳だった綾耶さんを突如、襲った病。

谷口さん:
「頭が真っ白ですね。がんって言ったら身近ではないもののイメージがあったので」

その時、綾耶さんから連絡を受けた母の良恵さんは…

母・谷口良恵さん:
「最初に聞いたのは勤務中だったんです。私仕事中だったんですよね。『ご家族の方から電話が入っています』っていうことで電話に出たら娘で。そのあとは仕事をどういう風にこなしたのか覚えてない」

甲状腺乳頭がんとの診断を受けた綾耶さんを待ち受けていたのは、1回7時間にも及ぶ2回の手術と、2週間の絶食でした。

好きなものを好きなときに食べられる幸せ…フルーツサンドに込める思い

長期間にわたる入院生活で、綾耶さんが心の支えにしていたという1枚のメモがあります。

谷口さん:
「食べられないのを紛らわすじゃないですけど、逆に目標だった。退院したら食べようと思う、だから2週間まず頑張ろうと」

綾耶さんの食べたい物リスト。メモの中には、大好きな果物の名前も記されていました。この時に感じた、“好きなものを好きなときに食べられる幸せ”

無事に手術を終えた綾耶さんの頭に浮かんだのは、大好きな果物に囲まれた仕事でした。

谷口さん:
「フルーツサンドが大好きっていうのがあって、これは自分が思う『究極のフルーツサンド』を自分でやるしかない」

その思いで一念発起、去年5月にフルーツサンドの移動販売「AIKA Ehime」をオープンさせたのです。

「お店の方の情熱がすごい」オープンから1年半でリピーターも増加

オープンから1年半、リピーターも増え、出店先には、オープン前から多くのお客さんの姿が。

お客さん:
「桃と三種のブドウとメロン」
「マンゴー2つと桃2つと全部MIX」

谷口さん:
「いつもありがとうございます。ありがとう、またね」

購入者:
「フルーツが美味しいのはもちろんなんですけど、クリームとかパンとかバランスが取れてて1個だけが何か負けてるってことがなくて、全部が主役なんですよ」

「お店の方の情熱がすごいので、こだわりが伝わってくる感じでおいしいです」

「生クリームもおいしいし、パンもおいしいし、フルーツも甘みが違う」
「いつも取り合いです。家に持って帰ったら」

谷口さん:
「満足することは一生ないと思うんですけど、よりおいしくを追求して」

病を乗り越え、たどり着いた綾耶さんの“オンリーワン”の「フルーツサンド」

谷口さん:
「サンドイッチを通していろいろなお話をする機会があって、いろんなエピソードを聞いて私も頑張ろうと思ったり、逆にその方たちが頑張ろうと思えるような存在になれたらいいなと」