中川翔子「“生きててよかった”にたどり着いて」 不登校経験者による動画コンテスト初開催
応募資格があるのは、不登校を1日でも経験した人やグループ(学校がつらい、行きたくないと思って学校を一度でも休んだ経験がある人)。参加者は『学校へ行きたくない私から 学校に行きたくない君へ』をテーマに、1分以内で動画を作成。中川さんやエッセイストの内田也哉子さんら審査員が「訴求力」「演出力」「創造性」を見て、入賞作品を決めるコンテストです。
この選手権は、「不登校の人にとって青春を感じられる舞台を作りたい」と開催。「舞台に向かっていく途中で、自分のハンディキャップの経験が実は希少価値があることに気づける。そういう大会にしたかった」といいます。また、なぜ“動画”の選手権にしたのかについては「自分で描いた絵を伝えたり、アニメーションをつけたり、表現できる幅が広い。スマートフォンで撮れるので、家から一歩も出られなくても“自分は社会に何か伝えたいんだ”、そう思える子が出せるように動画にしました」と思いが込められているということです。
■最優秀賞は「学校以外にも居場所はある」と伝える動画
期間中に集まった動画は約350本、総再生数は約1000万回(主催者発表)。不登校の当事者から「同じ仲間がいることを忘れないでほしい」と伝える動画や、「母親に不登校だったこと突撃して聞いてみたww」といった、悩んでいる保護者のために作られた動画、さらに様々な人に助けられ心を開いていく様子をアニメーションで表現した作品などが入賞しました。
最優秀賞に輝いたのは、新潟・長岡市にあるフリースクール『学びスペース あうるの森』のグループが作った動画です。勇気を出して行ったフリースクールが自分の居場所になったことを伝える動画で、最後に「環境を変えればきっと居場所はある。一歩を踏み出す勇気を」というメッセージで締めくくられています。
動画を作ったグループの中心メンバー・ひなたさん(13)は、人間関係のトラブルがあり小学4年生の春から不登校に。小学6年生の夏からフリースクールに通っているといいます。動画について「学校以外にも居場所があるよってことを伝えたかった。みんなで東京に行きたくて(笑)、めっちゃ頑張って撮りました」と13歳らしい本音を明かし、「みんなで頑張って編集・音楽・出演とかで分かれて作った動画なので、本当にうれしい」と笑顔を見せていました。
■中川翔子が“最も憂鬱な夏休み明け”前に伝えたいこと
自身も不登校の経験があり、今回審査委員長を務めた中川さんは「TikTokは何気なく(動画が)入ってきたり、次の動画をスライドしているうちにパッと目に入ってくる言葉が、傷ついている瞬間だからこそものすごく刺さるとか絶対にある。動画を作ってくれた皆さんに感謝です」と総括しました。
このイベントは、“最も憂鬱”と感じる学生が多いといわれる“夏休み明け”を前に、メッセージを届けるために開催されました。中川さんに「今、“学校に行きたくない”と悩んでいる学生にどんな声をかけたい?」と聞くと、「夏休みは10代のときはすごく長く感じるけれど、終わってしまう恐怖も大人の何倍もある。(当時)私も毎日ネットに助けられて、朝が来る度に“あぁ、嫌だな。また今日が来てしまった”と、目覚めると消えたいという気持ちに襲われる。どうしようもないものだったりする」と、自身の経験を告白。
そして、「よくコンサートだったり、悩んでいる若者の皆さんにお会いするときに、“死ぬんじゃねーぞ”という言葉をかけることが多い。生きていれば見つかるものがある、なんとかなる。つらい夜明けを乗り越えた先の“生きててよかった”にたどり着いてほしい。そう思って“死ぬんじゃねーぞ”と伝えたいなと思います」と語りました。