是枝監督、LGBTQを扱った映画に贈られる独立賞を獲得【カンヌ国際映画祭】
■「世間の期待に適合できない2人の少年が織りなす、この美しく構成された物語」
審査員長のジョン・キャメロン・ミッチェル監督は「物語の中心にいるのは、他の子供たちと同じように振る舞うことができず、またそうしようともしない、とても繊細で、驚くほど強い2人の少年です。世間の期待に適合できない2人の少年が織りなす、この美しく構成された物語は、クィアの人々、馴染むことができない人々、あるいは世界に拒まれている全ての人々に力強い慰めを与え、そしてこの映画は命を救うことになるでしょう」と映画を説明し、「登場人物のあらゆる面を、繊細な詩、深い思いやり、そして見事な技術で表現した是枝裕和監督の『怪物』に、私たち審査員は満場一致でクィア・パルム賞を授与します」とたたえました。
受賞を受け、是枝監督は「(審査員長が)お話してくださった映画の紹介の中に、この映画を通して僕が描きたかったことが全て語られていて」と明かし、「僕がこの映画のプロットを手にしたのは4年半ほど前なのですけども、その瞬間からこの主人公2人の少年が抱えている葛藤とどういう風に、それを演じる少年と同じように作り手であるプロデューサー、監督、脚本家がその葛藤と向き合うべきなのか、どうしたら向き合えるのかをとてもとても時間をかけてやってきました。映画がすべてを語っていると思うので、監督がここでなにかをいうのは、おまけのような、いらない蛇足なのですが、本当にこの映画を愛していただいて感謝いたします。ありがとうございました」とコメントしました。
■最高賞の発表は日本時間28日
是枝監督は2018年に『万引き家族』で、最高賞・パルムドールを受賞していて、パルムドールを競うコンペティション部門にノミネートされるのは、2022年の『ベイビー・ブローカー』に続き、2年連続、7度目です。
現地時間17日に行われた公式上映では、映画会社によると約9分半ものスタンディングオベーションで称えられた本作。パルムドールの発表は、現地時間27日(日本時間28日)に行われます。