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「自分を隠さなきゃと思ってた」 ありのままの“自分らしい服装”で迎える成人式

2024年1月10日 22:12
「自分を隠さなきゃと思ってた」 ありのままの“自分らしい服装”で迎える成人式
自分らしい服装で参加できる成人式を取材

一生に一度の成人式。そんな特別な日に自分の好きな服を着て、ありのままの自分で楽しむためのイベント『SEIJIN-SHIKI』が、東京・渋谷区で開催されました。「男性はスーツやはかま」、「女性は振り袖」という固定観念にとらわれない“自分らしい”服装で106人の参加者が思い出をつくりました。

『SEIJIN-SHIKI』を主催したのは、女性の体に合うメンズライクなスーツブランドを展開しているkeuzes。人生の節目に、時代の移り変わりの中で一人ひとりの価値観や生き方を肯定できるような体験を届けたいという思いから、2023年に初開催。2回目なる今回は全国各地から106人の参加者が集まりました。「前回来た人がまた来たいと思えるイベントにしたい」という思いから、参加可能年齢を18歳から22歳までに広げているといいます。

会場ではポートレートが撮影できるスペースや、1年後の自分に向けて手紙を書くスペースを設置。「ここでの出会いが今後につながる出会いにしてほしい」と、インフルエンサーとのトークセッションなどのコーナーも用意され、参加者たちが交流できる時間が多く設けられました。

参加者の中にはLGBTQなど性的マイノリティー当事者の姿も。イベントを開催したkeuzesの代表・田中史緒里さん(29)自身も、戸籍上の性別は女性ですが、自身を特定の性別だと自認していない“FtX”です。

着たい服がなかったことから、成人式に参加できなかったという田中さん。ブランドを立ち上げた後、スーツを購入してくれたお客さんから「成人式に着たいものは手に入ったけど、当日(地元の成人式に)行けるかわからない。周りが振り袖で自分だけスーツだった時に、周りにどうやって思われるんだろうと考えると行く勇気がない」と言われたといいます。その言葉をきっかけに「もの(スーツ)を提供するだけじゃなく、“自分らしくいられる場所”も必要なんだ」と感じ、イベントの開催を決めたといいます。

参加した思いを話してくれたのは、このイベントで知り合って仲良くなったという2人。

鮮やかなオレンジ色のシャツを着た、愛知県から参加したという20歳の大学生。振り袖よりも“自分らしい服装”で成人式に出たいという思いから、同じ日に開催された地元の成人式には参加しなかったといいます。

好きな服を着て参加できたことに「今までは自分を隠さなきゃいけないって思ってたけど、(『SEIJIN-SHIKI』は)周りにいる誰に声をかけても自分と同じような境遇の人たちばかりなので、その人たちに見守られてるような安心感というか、“普通でいいんだよ”みたいな安心感があってすごくうれしくなりました」と、同じ気持ちを持った人たちと交流できる喜びを明かしました。

グレーのワンピースに身を包んだ、神奈川から参加した19歳の大学生は、来年行われる地元の成人式には「自分らしい服装で参加できないのでは」と思い、このイベントに参加したといいます。「たくさんの同じ思いを持った仲間、たくさんの新しい人たちと成人するっていう感覚を体験したいなというのと、ここでしか味わえないことがたくさんあるのかなって思って参加しました」と笑顔を見せました。

スーツで参加した2人は、性自認が男性にも女性にもあてはまらない“Xジェンダー”。去年開催された『SEIJIN-SHIKI』で仲良くなり、性的マイノリティーの当事者が交流できる場を作る活動を一緒に始めたといいます。

今回も「自分たちと同じ境遇の人と出会う場にまた行きたい」と思い、参加。「性別に悩んでいる子が自分の周りにも多少はいた。やっぱり全国各地で集まれる機会があまり見つからなかったので、そういう人たちと一緒に交流したい。みんなのファッションを褒め合えるし、そこで交流が増えたりしてめっちゃ楽しいです」と心境を明かしました。