鈴木亮平、ゲイ役を演じて感じた“世の中の生きづらさ” 自分事として演じることで実感
映画で鈴木さんが演じたのは、ゲイであることを隠しながら思春期を過ごしたファッション誌の編集者・斉藤浩輔。宮沢氷魚さん演じる、パーソナルトレーナーの恋人・中村龍太と、阿川佐和子さん演じる、恋人の母親・中村妙子へ愛情を注ぐ繊細な演技をみせています。
■当事者の方々に話を聞き、役へ落とし込む
今回の映画について鈴木さんは「もちろんたくさんの人に見てもらいたかったですけど、なによりゲイの方々。当事者の方々に見てもらって、喜んでっていうとおかしいですけど、“こういう映画見たかったよね”っていうふうに言ってもらえたらという思いで。僕はそこの一心で作っていた部分がある」と映画への思いを明かしました。
さらに、今回の役作りについて「いつも大体(演じる役の)実際の世界の方々にはお会いしてお話を聞くんですけど、今回それはすごくやりました。こんなにいろんな方に協力いただいた役はなかったなと思います」と、実際に当事者の方に会って話を聞いていたと明かし、「みんな僕に会って話すということに、なんのメリットもないんですよね。普通にカフェとかに集まって、いろんなお話を聞かせてくださいってそこに時間を割いて、いい作品にしてほしいということでみなさん本当にいろんな事を赤裸々に話してくださったので、そこは感謝してますね」と役作りのために協力してくれた方々への感謝を語りました。
■映画で感じた「ゲイの方々が抱えてる生きづらさ」
また、鈴木さんは、今回の映画で“苦労したこと・気を使ったこと”を聞かれ「監督が現場で非常に本質みたいなものを大切にされる方で、演技をしているということをすごく避けようとされる方なので。例えば、ゲイの方々にお話を聞く中ですごく強烈に残ったのが、“それぞれの人の前で、自分のセクシュアリティーを知ってる人かどうか”。ある種ちょっと演じ分けないといけないっていうのを聞いて。それもそうだよなと思いながらも自分事として演じてみるとすごく実感があって、かなりこれは生きづらいなという実感があった」と演じてみて感じたというゲイの方々の生きづらさを明かしました。
続けて鈴木さんは「特に恋人のお母さんに2人の関係を隠して会いに行くシーンでは、監督が(母役の)阿川さんに秘密のメモみたいなのを渡していて“こういう質問をどんどん聞いていってください”っていうのがあったんですよ。それは僕には知らされていなくて、浩輔として相手の親に初めて会ったときに2人きりになって、“浩輔さん彼女いるの?”とか、“モテるでしょ”とか、“結婚は?”から始まり、そういうドキッとするような質問をたくさん投げかけてくるんですよね。それに対して自分がその場でどう答えるかっていう試されるような演出がたくさんあって。その場で試されるものにウソをつきたくないっていうことと、やりながらやっぱりこの感じで、ずっと人生を生きるのはしんどいなっていう思いがありました。そういう人間としての本質と、ゲイの方々が抱えてる生きづらさみたいなのを、リアリティーをもって表現するっていうことが一番気をつけたところかなと思います」と撮影で大切にしていたという表現の仕方について語りました。