マッチングアプリ、安心して使える? 安全対策で“知らない人に会う怖さ”払拭できるか
■街で聞いてみた「マッチングアプリは安全? 危険?」
東京・渋谷で街の人に「マッチングアプリのイメージ」を調査しました。
肯定的な意見は…
マッチングアプリ経験あり/22歳女性
「会って成功して付き合ってる子もいる。結婚した子も」
経験なし/25歳女性
「周りでやっている人が多いし、うまくいって結婚してる人もいる」
経験なし/46歳女性
「安全なのかなという疑問ある。でも、もし娘ぐらいのときの年齢(24歳)だったら1度はやってもいいのかな」
一方、否定的な意見は…
経験なし/20歳男性
「(あやしい)業者の人、お金をだまし取られるかもという怖さがある」
登録したことがある程度/20歳男性
「(プロフィルを)載せて不特定多数に見られる、友達にバレちゃうのがプライバシー的に怖い」
経験あり/24歳女性
「実際に“会おう”って言われると知らない人に会いにいくのが怖くて、“向いてないな”と思ってやめた」
他にも、マッチングアプリを始める/続けるために必要なアイデアとして「友達と2対2でも行ってもいいとか、自分の知り合いが1人いるだけで安心」「仲介役、責任者みたいな人がいればいいのでは」という意見がありました。
■大手マッチングアプリの“安全対策 統括責任者”を直撃
今回、安全対策に関する取材会を行ったTinderは、ダウンロード数が5.3億、190の国と地域で利用可能なマッチングアプリです。利用できるのは18歳以上で、利用者の50%以上が18~25歳のZ世代だといいます。基本的な安全対策として、「身分証明書のアップロードで18歳以上か年齢確認(マスト)」「プロフィル写真が本人であることを証明する写真認証の推奨(認証済みだと青いチェックを表示)」などを提供しています。
Tinderの安全対策 統括責任者であるローリー・コゾル氏に、街の声にもあった「複数人同士でマッチングした人と会う」「責任のある第三者を介入させる」といったシステムが将来的に可能なのかを記者が質問すると、以下のように回答しました。
Tinder ローリー・コゾル氏
「非常に興味深いコンセプトだと思います。ただそれが必須になってしまうのは、プライバシーの観点から難しいと思います。市場によっては友人・家族に知られたくないという側面もあります。
今ご指摘いただいた点でいうと、アメリカにある機能で『Noonlight(ヌーンライト)』があります(日本は未対応)。その機能は、デート中にコールセンターとつないでおいて(相手に悟られないように通報ができ)緊急事態に対応してもらえる。居心地が悪い、ここから立ち去りたいときにどうやったらいい?…というときにも、こういうステップをやってみましょう、というガイドができるんです」
■「安全性が大切」 不快なメッセージを報告できる機能も
アプリ側が安全対策をしているというものの、街ではこんな率直な意見も。
マッチングアプリ経験なし/18歳女性
「ニュースではネットで知り合って(事件につながるなどの)ネガティブ面をとりあげる。(アプリ側が)どんな対策をしても危ないと思う」
「マッチングアプリを始めてみようと思う気持ちは?」と質問すると「ないです」と断言する若者もおり、マッチングした人が本当に信用できるか?/信用できる人とマッチングできるか? を不安視する声も多くありました。
Tinderには「不快なメッセージ受信検出/送信防止」の機能も。日本では2021年から導入されました。不快に感じる可能性のあるメッセージ(性的な表現や差別用語など)を受信したことが検出されると、メッセージを受け取った利用者に「このメッセージは不快ですか?」とアプリ上で問いかけます。「はい」と答えると、相手の行為について報告することが可能。その報告が何回かあった場合、送信者はアカウント停止になるといいます。また、相手が不快に感じる可能性のあるメッセージを送ろうとしている場合にも、「本当に送信しますか?」と問いかけ。送信を未然に防ぐ狙いがあるといいます。
別のマッチングアプリ『with』では、初期登録の工程として、年齢/居住地/年収/身長など25項目程度の質問に答える必要があるなど、あえて最初の作業に手間をかけさせることで、恋愛や結婚への真剣度の低い“目的外の利用者”をサービスに入り込みづらくさせる仕組みにしているといいます。
Tinderのコゾル氏は「いくらコーチングをしても、直らない人もいます。言われたくない人もいます。そうであれば“退去してください” “二度と招き入れませんよ”と言っています。お客様を失うのは我々が受け入れるべき損失で、それよりも安全性が大切です」と語りました。