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マッチングアプリ、安心して使える? 安全対策で“知らない人に会う怖さ”払拭できるか

2023年6月10日 22:10
マッチングアプリ、安心して使える? 安全対策で“知らない人に会う怖さ”払拭できるか
マッチングアプリは安全? 危険?
“出会う”ための1つの手段であるマッチングアプリ。2022年に結婚した人のうち、5人に1人がマッチングアプリで出会ったという調査結果(出典:明治安田生命『いい夫婦』に関するアンケート調査)も出るなど、コロナ禍以降身近な存在になってきています。一方で、アプリでの出会いを悪用した事件が起こることも少なくありません。そんなマッチングアプリの安全対策について、大手アプリ『Tinder』の安全対策を統括する責任者を取材しました。

■街で聞いてみた「マッチングアプリは安全? 危険?」

東京・渋谷で街の人に「マッチングアプリのイメージ」を調査しました。

肯定的な意見は…

マッチングアプリ経験あり/22歳女性
「会って成功して付き合ってる子もいる。結婚した子も」

経験なし/25歳女性
「周りでやっている人が多いし、うまくいって結婚してる人もいる」

経験なし/46歳女性
「安全なのかなという疑問ある。でも、もし娘ぐらいのときの年齢(24歳)だったら1度はやってもいいのかな」

一方、否定的な意見は…

経験なし/20歳男性
「(あやしい)業者の人、お金をだまし取られるかもという怖さがある」

登録したことがある程度/20歳男性
「(プロフィルを)載せて不特定多数に見られる、友達にバレちゃうのがプライバシー的に怖い」

経験あり/24歳女性
「実際に“会おう”って言われると知らない人に会いにいくのが怖くて、“向いてないな”と思ってやめた」

他にも、マッチングアプリを始める/続けるために必要なアイデアとして「友達と2対2でも行ってもいいとか、自分の知り合いが1人いるだけで安心」「仲介役、責任者みたいな人がいればいいのでは」という意見がありました。

■大手マッチングアプリの“安全対策 統括責任者”を直撃

今回、安全対策に関する取材会を行ったTinderは、ダウンロード数が5.3億、190の国と地域で利用可能なマッチングアプリです。利用できるのは18歳以上で、利用者の50%以上が18~25歳のZ世代だといいます。基本的な安全対策として、「身分証明書のアップロードで18歳以上か年齢確認(マスト)」「プロフィル写真が本人であることを証明する写真認証の推奨(認証済みだと青いチェックを表示)」などを提供しています。

Tinderの安全対策 統括責任者であるローリー・コゾル氏に、街の声にもあった「複数人同士でマッチングした人と会う」「責任のある第三者を介入させる」といったシステムが将来的に可能なのかを記者が質問すると、以下のように回答しました。

Tinder ローリー・コゾル氏
「非常に興味深いコンセプトだと思います。ただそれが必須になってしまうのは、プライバシーの観点から難しいと思います。市場によっては友人・家族に知られたくないという側面もあります。

今ご指摘いただいた点でいうと、アメリカにある機能で『Noonlight(ヌーンライト)』があります(日本は未対応)。その機能は、デート中にコールセンターとつないでおいて(相手に悟られないように通報ができ)緊急事態に対応してもらえる。居心地が悪い、ここから立ち去りたいときにどうやったらいい?…というときにも、こういうステップをやってみましょう、というガイドができるんです」

■「安全性が大切」 不快なメッセージを報告できる機能も

アプリ側が安全対策をしているというものの、街ではこんな率直な意見も。

マッチングアプリ経験なし/18歳女性
「ニュースではネットで知り合って(事件につながるなどの)ネガティブ面をとりあげる。(アプリ側が)どんな対策をしても危ないと思う」

「マッチングアプリを始めてみようと思う気持ちは?」と質問すると「ないです」と断言する若者もおり、マッチングした人が本当に信用できるか?/信用できる人とマッチングできるか? を不安視する声も多くありました。

Tinderには「不快なメッセージ受信検出/送信防止」の機能も。日本では2021年から導入されました。不快に感じる可能性のあるメッセージ(性的な表現や差別用語など)を受信したことが検出されると、メッセージを受け取った利用者に「このメッセージは不快ですか?」とアプリ上で問いかけます。「はい」と答えると、相手の行為について報告することが可能。その報告が何回かあった場合、送信者はアカウント停止になるといいます。また、相手が不快に感じる可能性のあるメッセージを送ろうとしている場合にも、「本当に送信しますか?」と問いかけ。送信を未然に防ぐ狙いがあるといいます。

別のマッチングアプリ『with』では、初期登録の工程として、年齢/居住地/年収/身長など25項目程度の質問に答える必要があるなど、あえて最初の作業に手間をかけさせることで、恋愛や結婚への真剣度の低い“目的外の利用者”をサービスに入り込みづらくさせる仕組みにしているといいます。

Tinderのコゾル氏は「いくらコーチングをしても、直らない人もいます。言われたくない人もいます。そうであれば“退去してください” “二度と招き入れませんよ”と言っています。お客様を失うのは我々が受け入れるべき損失で、それよりも安全性が大切です」と語りました。