クラウドサービス拡大 電力どう調達する?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「クラウドサービスと電力消費」。データドック代表の宇佐美浩一氏に話を聞いた。
IT専門の調査会社が行ったアンケートによると、2018年度の日本におけるクラウドサービス市場全体の規模は前年度に比べ18.1%増の約1兆9400億円となった。そして、今後2023年度には約4兆5000億円まで拡大する見通しとなっている。
今後も大幅な需要の伸びが見込まれるクラウドサービスだが、それを支えるデータセンターでは、大量の電力が必要となる。
――今後、どのように電力を効率的に利用するのか。宇佐美さんにご意見をうかがいます。フリップをお願いします。
「寒冷地で持続可能に!」です。
どのくらい電力が使われるかというのがちょっとイメージがつかないと思います。例えば、東京都が消費する総電力量の10%以上はデータセンターで消費されるという統計もあります。ちょっと上昇傾向なんですよね。
東京電力さんも、これから対策していくと思いますが、まずたくさん電力を使うとなると、まずはそのレベルであると共有できたらなと思います。
――そしてその対策が必要なんですよね。
データセンターというのはコンピューターが動いているので、それを適正に冷やさないといけません。それで大量の電気を空調電気で使うことになります。
それが寒冷地であれば外気、冷涼の空気を取り込んで、それを空調に使えますので、冬から春までの間は外気の空調を使ってサーバー類を冷やせるということになります。
さらに冬に降った雪を備蓄しておきますと、夏の間これを少しずつ溶かしながら空調まわりに使えるということもありますので、飛躍的に機械冷房の削減になるというのが大きな特徴ですね。
あとは排出されるエネルギーも使うことが可能になりますので、合わせて持続可能な要素が寒冷地であればできるということです。
――そして先ほど、余剰エネルギーというお話がありましたよね。
私どもの取り組みはデータセンターが隣接する土地に植物工場を併設しております。
植物工場では水産養殖と水耕栽培をミックスした新しいアクアポニックスという農法に取り組んでおります。こちらに対しても余剰エネルギーを暖房に使っていただけます。あとは先ほど雪冷熱を使うといいましたが、そこの戻り水を冷房代わりに使うと、そんなこともいま取り組んでいます。
■宇佐美浩一氏プロフィル
雪国の自然環境を利用して、データセンターを冷却するための消費電力を大幅に抑える一方、データセンターから出る廃熱などの余剰エネルギーを活用し、水耕栽培、水産養殖事業にも乗り出す。持続可能な新しいデータセンターのモデルで、地方創生を目指している。
【the SOCIAL opinionsより】