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「学校で学べない」「どう教えれば」……“お金の教育”どうする? 「金融リテラシー」低い日本ナゼ 【#みんなのギモン】

2024年5月21日 10:44
「学校で学べない」「どう教えれば」……“お金の教育”どうする? 「金融リテラシー」低い日本ナゼ 【#みんなのギモン】
金融・経済を学ぶイベントや教室が盛況です。株価上昇や円安、新NISA制度などを受け、子どもに学ばせたいという関心が高まっています。日本の若者の金融リテラシーは欧米より低いとの指摘もあり、官民挙げて金融・経済教育を強化する動きが進んでいます。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「どうする?お金の教育」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●“お金の教室”が盛況 家庭の工夫は?
●日本は低い? 金融リテラシー

■正答率46%…「人生の3大費用」とは

渡邊翔・日銀金融担当キャップ(経済部)
「株価の上昇や最近の円安、新しいNISA制度のスタートなどを受け、子どもにお金や経済のことを学ばせたいという関心が高まっています」

「まずは大人の皆さんにクイズです(2022年の金融リテラシー調査、正答率約46%)」

「一般に『人生の3大費用』とは、次のうち何を指すでしょうか? ①一生涯の生活費・子の教育費・医療費②子の教育費・住宅購入費・老後の生活費③住宅購入費・医療費・親の介護費」

鈴江奈々アナウンサー
「自分のことか、親のことか、子どものことか…。いろんな要素がありますが、直感で②です」

斎藤佑樹キャスター
「僕も②ですね」

渡邊キャップ
「金融リテラシーがかなり高いかもしれません。2人とも正解です。住宅購入費は数千万円かかりますし、老後の生活費は2000万円のような話も以前ありました。子どもの教育費も数百万円、通わせる学校によっても変わってきますから、かなり大きな出費になります」

■体験型イベントや投資教室の様子

渡邊キャップ
「こういった経済に関する基礎知識をどう子どもに伝えていくのか。18日に大手金融機関が開いた、小学生向けの体験型の金融経済教育のイベントを取材しました」

「貯金箱を作ってみるコーナーの他、カードゲームで預金や株式、外貨などのコマを動かしてどんな時に株価が上がるかなど資産運用の基本を学ぶコーナーもありました。親子合わせて約130人が参加しました」

「19日には親子で投資の知識について学ぶキッズ・マネー・スクールが開かれました。子どもが『大人気のユーチューバーがこの商品めちゃくちゃおいしい』と配信! 株価急上昇、プラス50円』と言うと、『っしゃー!』という声が上がりました」

「『株式投資とは会社を応援することです』などのやさしい説明や、ゲームを通して投資の考え方を学んでいきました」

■お小遣いの渡し方に各家庭の「工夫」

斎藤キャスター
「僕も子どもの時こういう勉強ができたらよかったな、というのと、今でもこういう勉強したいなと思いましたね」

渡邊キャップ
「かなり昔に比べて充実してきたなという気がします。イベントや教室に来た方に、家庭でのお金の教育をどうしているか聞きました。お小遣いの渡し方に『なるほど』と思う工夫がありました」

小5・小2の親
「1000円ずつ(毎月のお小遣いを)渡してるんですけど、使わないで翌月に残しておいたら100円利息渡すよと」

小5の親
「金融に少しでも関心を持ってもらうために、毎月のお小遣いを4ドルと決めて渡していて。実際には円で渡すんですけど、その時の為替レートによって毎月の受取額が変わってくるっていう」

小学5年生
「(円安で)590円くらいだったのが600円になって、自分はめっちゃうれしいけど、海外に行く人とかはつらいんだなというのが身にしみて感じた」

森圭介アナウンサー
「小遣いの利息制を1回やったんですけど、子どもはあるだけ使っちゃって、うちには向いてませんでした。残念です…」

鈴江アナウンサー
「今円安でなかなか海外旅行って連れて行けないんですけど、日本にいながらお小遣いやお年玉をドルにしたら、その変動を実感させてあげられますよね」

森キャスター
「親も勉強しなきゃいけませんね」

鈴江アナウンサー
「いいアイデア!」

■教室への問い合わせ増の背景は?

渡邊キャップ
「先ほどの投資教室『キッズ・マネー・スクール』ですが、4月の問い合わせ数は112件で、去年の同じ月の2.7倍に増えました。その理由として、年末からの株価の上昇や最近の円安の他、今年明らかになったあるニュースもあったといいます」

「愛知・名古屋市の小学生が同級生に、親の貯めていたタンス預金から何回かに分けて約93万円を支払っていた金銭トラブルです」

「この問題を受け、子どもがトラブルに巻き込まれないよう、『きちんとしたお金の使い方を身につけさせたい』と参加する親子も増えたといいます」

■欧米諸国と比べた日本のリテラシー

渡邊キャップ
「ここからは金融リテラシーについて考えます。週末の取材で保護者から多かったのは『学校でお金のことを学ぶ機会がなかなかない』『どうやって子どもに教えればいいか分からない』という声でした」

「日本の若者が金融や経済を理解して活用する力、金融リテラシーは欧米と比べても低い傾向にあると指摘されています」

「3年ごとに行われる、金融の基礎知識を尋ねる『金融リテラシー調査』では欧米各国と共通になっている質問がいくつかありますが、2022年の調査では、全世代の平均正答率はドイツ・フランス・イギリス・アメリカと比べると日本が一番低い結果でした」

鈴江アナウンサー
「全ての世代ということは、子どもから大人までということですか?」

渡邊キャップ
「そうです。『金融の知識に自信がある』と答えた人は日本が12%、アメリカが71%。『金融教育を学校などで受けた』という人は日本が7%、アメリカが20%でした。アメリカとかなり大きな差がついているのが分かります」

河出奈都美アナウンサー
「私も社会人になって自分で勉強したつもりではありますけど、自信があるかと言われればあまりないですし、知識がない=怖い、だから手を出しにくいという負のスパイラルに陥りそうだなと思ってしまいますね」

■高校で「投資部」、官民共同の司令塔も

渡邊キャップ
「最近は官民を挙げて子ども向けの金融経済教育を強化しようという動きが進んでいます。2年前から、高校で学ぶ内容に投資などに関する教育が加わりました。沖縄県の仙台育英学園沖縄高校は『投資部』を作り、実際に株式を買って運用するなどの活動をしています」

「4月には、官民共同で金融経済教育を進める新たな組織も発足しました。これまで金融庁や日銀、金融機関が別々に行ってきた金融・経済教育の司令塔を作り、子どもへの教育だけでなく、大人の知識も増やすための活動も行うといいます」

「金融庁の担当室長を務める桑田尚さんは『学んだ上で、自分は投資しないと思う人はやらなくていい。ただ、それを自分で判断できるようにすることが重要だ』と話していました」

■「生活を守る手段」「時間を武器に」

鈴江アナウンサー
「ひと昔前は投資って、儲けるためのものとかプロがやるものと思ってましたけど、今は物価高などでお金の価値が(大きく)動いている時なので、大人としても、生活を守るための1つの手段として積極的に学びたいなと思いました」

森アナウンサー
「投資にとって時間というものが武器になるわけじゃないですか。子どもの頃から時間を武器に投資を学ぶことができたら、大人になって金融やお金に対する考え方も持てるんじゃないかなと、ちょっと羨ましいなとも思いましたね」

渡邊キャップ
「まさに次世代の未来が明るくなるといいですね。こうしたお金の流れや金融・経済の仕組みを小さいうちから学ぶことは、将来のお金の使い方の選択肢を増やすだけでなく、無用な金銭トラブルから子どもが身を守ることにもつながるのではないかと思います」

「ご家庭でもう一度学んでみるのはいかがでしょうか?」

(2024年5月20日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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#みんなのギモン

https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html