夏の風物詩に“値上げの波” 花火大会存続へ有料観覧席やクラウドファンディングも
物価高が夏の風物詩にも影響を及ぼしています。各地で花火大会が復活しますが、原材料費や人件費の高騰で予算が膨らみ、有料観覧席の設置やクラウドファンディングの実施など、新たな対策を打ち出し始めています。
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夏の風物詩、花火大会。群馬県伊勢崎市では、コロナ禍以前の規模での花火大会が復活します。8月6日に開催されますが、ある問題が浮上していました。
伊勢崎市文化観光課 田部井恵美子課長
「(花火の)打ち上げ費用の増加、人件費の増加、かなり全体的に多く支出されるものですから」
今年は大勢の人出が予想されるため、警備を強化します。その人件費や花火の薬剤の高騰で、去年に比べて費用が200万円増えたというのです。
伊勢崎市文化観光課 田部井恵美子課長
「今年初めてなんですけど、有料観覧席をもうけることにしました。同規模の花火を継続して見ていただけるよう、市としても努めていきたいと」
これまでは無料だった広場での観覧を今年初めて有料化し、大会の継続を維持していました。(2人席・8000円 4人席・1万6000円)
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福井県小浜市では、4年ぶりに夏祭りが復活します。一緒に開催される花火大会も、資金難に苦しんでいました。やはり、その理由は“物価高”でした。
若狭マリンピア実行委員会事務局 前野ありささん
「物価高の影響で、花火代が2割ほど値上がり」
今年は、花火玉の仕入れ値が2割ほど上昇。本来は8000発ほどを打ち上げたい花火ですが、“5000発が上げられるかどうか”と嘆いていました。
そこで資金を集めるため、今年、初となるクラウドファンディングを実施。目標金額は100万円で残り2週間を切っていますが、11日午後1時半時点でまだ6割ほどしか集まっていません。そのため、打ち上げ数が減るかもしれない危機に陥っています。
若狭マリンピア実行委員会事務局 前野ありささん
「そこ(5000発打ち上げ)も今、厳しい瀬戸際なので、クラウドファンディングで少しでも花火の数も上げられればなと」
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夏祭りの楽しみといえば、縁日です。ただ、そこにも値上げの波が押し寄せています。
ヤマギシ 松田朝子さん
「全体的な8割、9割以上が値上げの対象になったと」
一般の人も買うことができる縁日用品などを扱う卸問屋では、縁日用品など、実に8割ほどの商品を値上げしていました。
ヤマギシ 松田朝子さん
「お祭りなので、光ってパタパタするようなうちわ、2割くらい値段として上がっている」
今、光るおもちゃが縁日で人気ですが、光るチップの原材料が高騰し、仕入れ値が上昇。店頭価格を2割ほど値上げして販売していました。
自治会の夏祭り向けに、景品のおもちゃなどを選びにきた客は、7年前にこの店で買った際のレシートと見比べ、値上がりを実感していました。
客
「(7年前は)光るブレスレット400円が(今年は)550円になっていましたね。ちょっと大変だなって…」
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さらに、夏祭りの定番、金魚すくいの金魚も値上げしていました。
金魚を育て、全国に向けて販売している会社は、需要が回復する中での、仕入価格の上昇に頭を抱えていました。
やまと錦魚園 嶋田輝也代表
「円安とか生産コストかなり上がっているので、大変苦しいとこなんですけど、コロナ前よりも1割ぐらいの(販売価格の)値上げで抑えて頑張っている」
円安の影響で金魚のエサ代がコロナ前と比べて6割ほど上昇。自治体などに販売する価格は1割ほど値上げにとどめていました。