ロシア国民「大統領はバカではないと信じている」 制裁続き生活に影響も…プーチン大統領を支持
ウクライナ侵攻をめぐり、欧米諸国などから厳しい制裁を受けるロシアでは、影響が市民生活にも及んでいます。一方で、戦闘が長引く中、国内には変化も見え始めています。
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19日、モスクワ中心部のショッピングモールにあるフードコートは、平日にもかかわらず、多くの人でにぎわっていました。
フロアには、日本でおなじみのブランドもありますが、案内図を見ると、ロシアからの撤退を発表するなど、営業を停止している一部の店舗にはバツ印がついています。
スーパーの青果売り場に並ぶ、いろとりどりの野菜や果物。友好国からの輸入品です。
店員
「ぶどうはペルー、レモンはウズベキスタン、ブロッコリーはイラン、レタスはウズベキスタンからです」
値上がりしているといいますが、買い物客からは大きな不満の声は聞かれませんでした。
買い物客は「この店では全体に値上がりしましたが、それほどでもありません」と話します。
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モスクワ郊外に住むアリーナ・イボチキナさん(34)は、サラリーマンの夫(36)と、1歳10か月になる娘との3人暮らしです。
モスクワ郊外在住 イボチキナさん(34)
「1番困っているのは(2台目の)車が買えないことです。(価格が)倍になりました」
やはり気になるのは物価の上昇で、肉は、安売りの日にまとめ買いし、冷凍庫に保存。トイレットペーパーも買いだめていました。
食費を節約するため、家庭菜園まで始めるなど生活は楽ではなくなりましたが、それでも、プーチン大統領を支持するといいます。
イボチキナさん
「これ(軍事作戦)の意味と目的は知りませんが、大統領はバカではないと信じています。ロシアとロシアの国境、私たちの子供を守るためにやってくれていると思います」
こうした声に支えられ、全ロシア世論調査センター(5月10~15日)による世論調査で「プーチン大統領を信頼する」と答えた人は80.7%と、高い水準を維持していると伝えられています。
22日に放送された国営テレビ「ロシア24」でキャスターは、「この2週間で1番の成功です。“ナチス”アゾフが完全に降伏しました」と伝えました。
記者
「これから空軍が攻撃します」
国営テレビは連日、ロシア軍の動向を報じています。
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一方で、戦闘が長引く中、国内には少しずつ変化も起きています。
兵士とその家族の相談を受けている「ロシア兵士の母の会」のメリンコワ会長は、ウクライナで戦う兵士の安否に関する問い合わせがあるといいます。
「ロシア兵士の母の会」メリンコワ会長
「主に『(自身の子供などの)兵士はどこにいるのか?』という相談です。彼らがウクライナとの国境を越えると、一切連絡が取れなくなるからです」
さらに、慎重に言葉を選びながら次のように話しました。
メリンコワ会長
「ロシアの当局は何らかの理由で、亡くなった人の数、捕虜になった人の数、行方不明者の数を言いたくないようです」
ロシア軍の戦死者について、ロシア国防省は3月25日に「1351人」と発表したのを最後に、公表していません。
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こうした中、プーチン政権が「愛国心教育」に力を入れています。ロシア・エカテリンブルクで先月25日、子供たちがロシア国歌を歌っていました。新たに、学校での国旗の掲揚と、国歌の斉唱が義務づけられたのです。
すでに一部の学校で始まっていて、9月からはすべての学校で義務づけられます。