福島第一原発の処理水放出をめぐり、日中代表が異例の応酬 NPT準備委
2026年に開催予定のNPT=核拡散防止条約の再検討会議に向けた第1回の準備委員会が、31日、オーストリア・ウイーンで開幕し、福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐって、日本と中国の代表が異例の応酬を繰り広げました。
福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐっては、中国が日本からの輸入水産物への検査態勢の強化を進めるなど、反発を強めています。
こうした中、2026年に開催予定の核拡散防止条約再検討会議に向けた第1回の準備委員会が、31日、開幕し、日本からは武井外務副大臣が出席しました。
その中で、武井副大臣は、「ロシアによる核の威嚇など、『核兵器のない世界』への道のりが一層厳しくなる中だからこそ、NPT体制の維持・強化は国際社会全体の利益だ」とした上で、原子力の平和的利用に触れる中で、福島第一原発の処理水について、「日本は、海洋放出の安全性に万全を期し、国内外の人々の健康や環境に悪影響を与える放出は行わないことを改めて強調する」と述べました。
これに対して、中国側は、「日本政府は福島第一原発の事故による『汚染水』の放出を決定したことに対する国際社会の懸念に対応すべきだ」と非難しました。
日本側は、この発言に対して、「『汚染水』を放出するわけではなく処理水だ」とした上で、「IAEA=国際原子力機関の専門家や、中国と韓国の専門家によってチェックされ、 日本はこれまで関係諸国と真摯に透明性のある対話を行ってきた」と反論しました。
その後も、処理水の放出をめぐり日本と中国の双方が異例の応酬を繰り広げ、31日の会議は終了しました。
中国側が反発を強める中で、処理水の放出計画をめぐる日本と中国の隔たりの大きさを露呈した形です。