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中国初の空母は日本の脅威となるか

2011年8月14日 9:26

 10日、中国初の空母の試験航海を行った。戦闘機などを搭載する空母は「浮かぶ空軍基地」と言われている。中国初の空母は、日本にとって脅威となるのだろうか。

 中国初の空母は、旧ソ連製の空母「ワリャーグ」を改修したもので、7月に撮影された時には足場が取り外され、海にまぎれやすいグレーに塗られていた。スキーのジャンプ台のように大きくせり上がった先端部分は艦載機が飛び立つのに利用されるとみられている。6日には、空母に設置された機材のカバーが次々と取り外される様子が撮影された。

 これまで空母の存在を認めてこなかった中国は7月27日、一転して計画を公表した。その後、空母が見える場所には大勢の観光客が集まり、記念撮影する人も見られた。見物人は「興奮しています。早く、南シナ海や東シナ海で、日本や東南アジアの悪い人たちをやっつけてほしい」と話していた。

 国威の発揚に利用する意図もあるものとみられる。中国はアジアの海で動きを活発化させており、香港メディアは「ワリャーグ」が来年、南シナ海方面に配備されると報じている。

 中国初の空母は、日本や各国を脅かす存在となるのか。元海上自衛隊護衛艦隊司令官・金田秀昭氏は「直ちに、これ(空母)が脅威になるわけではない。初歩の段階の作戦が可能になるのに最低10年はかかる」と述べている。また、11隻の空母を持つアメリカの海軍少佐は「(ワリャーグの)試験航海に対して、特にコメントはない」と話している。

 もともとの建造から時間がたち、戦力としてはさほど役に立たないという指摘もあるが、中国の狙いについて、金田氏は「これ(ワリャーグ)を土台にして、中国は国産空母をつくり、それに適合する、より性能の高い航空機を搭載する。侮ることはできない、中・長期的に看過できない存在になる」と話す。

 新たな空母を建造中といわれる中国・上海の造船所では、壁に「国に尽くす」という文字が書かれている。情報が漏れないよう、作業員の住居を敷地内に設けて監視するなど厳戒態勢が敷かれている。