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2011年8月17日 21:11

モスクワの夏を快適に過ごすには…

モスクワの夏を快適に過ごすには…
(c)NNN

 あまり暑いイメージのないモスクワだが、最高気温が30℃を超える日もある。意外と暑いモスクワの夏の過ごしかたとは?モスクワ支局・片野弘一記者が取材した。

 モスクワには、一戸建ての住宅というものがない。市民はお金持ちも、そうではない人も全員、アパート住まいなのだがソビエト時代に建てられた古いものが多く、エアコンはほとんど普及していない。真夏の週末、郊外に向かう道路はどこも大渋滞となる。狭くて暑いアパートを逃れてモスクワの人たちが目指す先、それは“ダーチャ”と呼ばれる郊外の別荘だ。この国がまだソビエトと呼ばれていた時代、政府はモスクワ市民に郊外の土地を無償で分配した。その広さは一家に一律、600平方メートル。そして、食料不足を補うためにダーチャでの野菜作りを奨励したという。時代は変わり、野菜も生活のためというよりは楽しみで作っている人がほとんどだ。

 そのダーチャで過ごしている家族を訪ねた。エレナさんは両親と夫、そして息子の5人家族。IT企業に勤める夫は週末だけここにやって来るが、あとの4人は夏休みのすべてをダーチャで過ごす。収穫した野菜を見せてもらうとまだ小さいようだが、エレナさんは「まだ早いけど、料理にはもう使っているのよ。甘くておいしいのよ」という。息子のニキータくんは「ここでは友達と自転車やサッカーで遊んでいるんだ」話す。またエレナさんは「毎日バーベキューもいいわよ。全部外で楽しいわよ。街ではそんなこと絶対にできませんから」と笑顔で話す。ダーチャの過ごし方は人それぞれだ。マイペースで夏のひと時を楽しむ。

 別のお宅を訪ねてみると、軒下に毛皮のようなものが掛かっている。何の毛皮か聞いてみると「北極圏に居たオオカミだよ。ただしっぽを猫がかじっちゃったけどね」とのことだ。

 ダーチャでの一番の楽しみ…それはロシア式のサウナだという。思いっきり熱した石に水をかけると蒸気があたりにたちこめる、これで準備完了。ロシア式のサウナは日本のモノとはかなり雰囲気が違い、葉のついたシラカバの枝でバサバサと体をたたく。サウナの近くにいるだけでとても熱く、汗が噴き出してくる。サウナの心地はどうかを聞いてみると「おお!気分はいいよ!俺は生き返ったぞ!」と、満足そうだ。ダーチャの夏、それはロシア人の元気の源だ。

 しかし、古き良きロシアの夏も最近はちょっと様変わりしてきているようだ。ダーチャでは物足りない、という人たちをターゲットに売り出された別荘地、一軒のお値段はなんと、5億5000万円から15億円。アガラロフ・エステイト社長のナテラ・ノブルゾフさんは「この地区の人たちには、郊外で気持ち良く過ごしていただくために、様々な一流のサービスを提供しています」と話す。優雅な夏を楽しみたい…経済成長に伴ってそう考えるロシア人も最近、増えてきている。まるでリゾート地のような雰囲気で過ごす別荘暮らし、伝統的なダーチャとはかけはなれた夏がここにはある。ゴルフを楽しんでいる人に話を聞いてみると「これは生活の新しいスタイルだよ。子供にも教えたいね」と話す。

 最近話題のちょっとオシャレな朝の散歩…気球でロシアの夜明けを空から楽しもうというものだ。夏のレジャーも、どんどん多様化してきている。熱気球で小さな家族旅行を楽しむことも数年前まではとても考えられなかった。

 ソビエトからロシアに変わって20年、夏の伝統的な光景にもようやくペレストロイカ・改革の時が来たのかもしれない。