飢餓で亡くなる子ども 支援物資搬入できず イスラエルとハマス“衝突”から半年
イスラエル軍とイスラム組織「ハマス」による衝突は、4月7日で半年をむかえます。犠牲者も増え続けていて、パレスチナ自治区ガザ地区では食料不足による飢餓で亡くなる子どもがいるなど、死と隣り合わせの生活が今も続いています。
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イスラエル軍による空爆でがれきと化したガザ地区の住宅。今もなお戦闘が続く中、深刻化するのは食料不足による飢餓です。
先月、ガザ地区の病院で治療を受けていた生後2か月の女の子は、体重がわずか2000グラムまで落ち、やせ細った体で苦しそうに息をしていました。
国連はガザ地区でこれまでに27人の子どもが栄養失調で死亡したと発表。食料不足や攻撃で今、多くの子どもたちが危機にひんしているのです。
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こうした中、イタリアなどがケガをした子どもたちを海外へ移し治療するプロジェクトを開始しました。
私たちが向かったのはイタリア北部の病院です。そこには空爆などでケガをした子どもたちの姿がありました。これまでに約60人が移送され、治療を受けているといいます。
17歳のアダムさんもその1人です。
空爆で負傷したアダムさん(17)
「となりの家を爆撃されて破片が足に直撃したんです。それ以来足が動きません。いとこは破片が頭に当たって死にました」
ケガから1か月後、アダムさんはイタリアで治療が受けられることになりました。ただ、誰が外国で治療を受けられるかは「イスラエル側が決めていた」と話します。
空爆で負傷したアダムさん(17)
「親族がハマスと関わりがあれば、ケガしていても絶対に許可をもらえません。イスラエル側が勝手に外に出られる人を決める。生死を決めるんです」
アダムさんの家族は、今もガザ地区に残っています。
アダムさんの父親(3月)
「アダム! これが私たちのテントだ。きょう、やつらはテントの近くを爆撃した。これは破片が飛んできた跡だ」
自宅が空爆で全壊し、テント生活を余儀なくされている家族からは、悲痛な声が聞かれました。
アダムさんの弟
「アダム! ここから出してくれ! 朝から晩までミサイルの音ばかりだよ。あちこちからミサイルが飛んでいくんだ。爆発の音が聞こえる? ドローンの音が聞こえる?」
アダムさんは、ガザ地区に戻れば死と隣り合わせの生活が待っているとわかっていても、「早く大切な家族に会いたい」と願っています。
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ガザ地区への攻撃が続く中、イスラエル国内では支援の動きもでています。
イスラエル人とパレスチナ人による有志の団体「Standing Together」は、3月に独自にガザ地区に人道支援物資を搬入することを計画しました。
支援団体のメンバー シールさん
「多くのイスラエル人が食料を寄付してくれました。ガザ地区のことに責任を感じ、(戦闘が)終わることを望んでいるイスラエル人がいることを知りました」
しかし…
支援団体の関係者(イスラエル・アシュケロン、3月)
「当局が搬入を阻止している!」
イスラエル軍は団体による支援物資の搬入を阻止しました。
支援団体のメンバー シールさん
「悲しいですが、それが現実です。戦闘が終わることを望んでいます」
イスラエル内部からも上がる侵攻を疑問視する声。停戦に向けた交渉はいまだ進展をみせず、ガザ地区では出口がみえない状態が続いています。