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“ナッツ”裁判 懲役1年実刑判決の背景は

2015年2月12日 17:16

 韓国の大韓航空の前副社長が、乗務員のナッツの渡し方に激怒し、動き始めた航空機を引き返させた事件で、判決が下された。裁判所は12日午後、前副社長に対し懲役1年の実刑判決を言い渡した。ソウルから坂口賢二記者が中継。

 判決の瞬間、趙被告はティッシュを右手に持ち、涙をぬぐうようなしぐさを見せた。大韓航空の前副社長、趙顕娥被告は航空保安法違反など5つの罪に問われており、航空機を引き返させたことが航路変更罪にあたるかどうかが焦点となっていた。

 12日午後3時半に始まった判決公判で、裁判長は「航空路にあたるのは飛行機の全てのドアが閉められた時からと解釈でき、被告の行為は航路の変更にあたる」と述べた。

 また、趙被告が「飛行機が動いていることを知らなかった」と主張していることについては「機体が動いていることは乗務員の説明や体で感じて認識していたはずだ」として退けた。そして、「韓国の国際的威信を失墜させた責任は重い」として趙被告に懲役1年の実刑判決を言い渡した。

 Q:執行猶予なしの実刑判決となった背景にはどういったことがうかがえるか?

 裁判所は「危険は現実のものとならなかった」としながらも、「被告が真摯(しんし)に反省しているか疑問を感じる。被害者と合意しなかった点を考慮した」と実刑判決の理由を説明した。今回の事件は、財閥一族の横暴ぶりを示すものとして、韓国市民の強い怒りを買っていた。12日の判決には、趙被告に厳しい量刑を求める国民感情も背景もあったとみられる。