「生きていることに感謝」キーウのカフェ地下にシェルター…身を潜め生活
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、民間人の日常は、一方的に奪われ続けています。ウクライナの首都・キーウ(キエフ)で、カフェの地下にあるシェルターで身を潜める人たちを取材しました。
一方、アメリカのバイデン大統領はEU首脳会議に出席し、ロシアをG20(=主要20か国)の枠組みから排除すべきとの考えを示しました。また、ロシアがウクライナで生物・化学兵器を使用した場合、何らかの対抗措置を取ると警告しました。
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荒野から3発連続で発射されたミサイル。ロシア国防省が23日に公開したウクライナへの攻撃とみられる映像です。
ロシア国防省報道官
「攻撃の結果、ウクライナ軍の武器庫および、欧米諸国からきた戦車を破壊した」
一方、ウクライナ軍は、海上に立ち上った大量の黒煙の映像を24日に公開しました。火元はロシアの揚陸艦で、撃沈に成功したとしています。
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「この1か月、我々はロシアの主な進軍ルートで撃退した。ウクライナを確実に平和と勝利に近づけるために、先に進まなければなりません」
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争いはいつまで続くのか。民間人の日常は、一方的に奪われ続けています。
ジャーナリストの佐藤和孝さんが取材したのは、首都・キーウの中心部にあるカフェです。実はこの下に広がっていたのは、多くの人が身を潜められるシェルターでした。
ジャーナリスト ジャパンプレス・佐藤和孝さん
「夜になると、この地下で生活するみたい」
いくつか部屋が分かれているほどの広さです。
避難している人「危険を感じたので、妻とこの場所に来ました」
取材に訪れた2時間前にも、警報音が鳴り響いていたといいます。
避難している人「どこから来たの?」
佐藤和孝さん「ジャパン」
避難している人「ジャパン!私の夢は日本に行くこと」
佐藤和孝さん「ぜひきて」
避難している人「本当に日本の文化が大好きです」
男性は日本への愛を語ってくれました。
ただ、今シェルターにいる人たちは「今は他の楽しみよりも安全第一。生きていることに感謝しています」と話します。
国連によると、亡くなった民間人は少なくとも1035人に上ります。ただ、激戦地の被害は把握できていない状況です。
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事態が深刻化する中、24日に世界各国の首脳がベルギー・ブリュッセルに集結し、NATO(=北大西洋条約機構)、G7(=先進7カ国)、EU(=欧州連合)の3つの首脳会議が開かれました。
まず、NATO首脳会議ではウクライナへの追加の軍事支援や、新たな戦闘部隊をヨーロッパ東部の4か国に配置することで合意しました。
また、G7首脳会議には、岸田首相も出席しました。
岸田首相
「ロシアによる平和条約交渉中断宣言にひるむことなく、今後とも断固とした対応をとっていくこと(を強調した)」
日本はロシアへのさらなる制裁措置として、ぜいたく品の輸出禁止やロシア政府関係者に対する資産凍結の対象拡大などを、25日の閣議で決めました。
そして、アメリカのバイデン大統領が初めて出席したEU首脳会議。会議出席後、ロシアの議会議員や金融機関のトップなど、400以上の資産を凍結する新たな制裁を発表しました。
また、明らかにしたのは――
――G20からのロシア排除は?
アメリカ バイデン大統領
「私は賛成だ。G20次第だが、その問題は本日提起された」
首脳会議の場で提起されたというのが、ロシアをG20から排除する案です。さらに、ロシアがウクライナで生物・化学兵器を使用した場合、何らかの対抗措置を取ると警告しました。
バイデン大統領は日本時間の25日夜遅くに、ウクライナの国境近くの町、ポーランドのジェシュフを訪れる予定で、避難民の支援などについて意見交換するということです。