モスクワ銃乱射 国営メディアに“圧力”か…プーチン氏“ウクライナ関与”ほのめかす
22日、モスクワ近郊で銃乱射事件が起きました。死者は137人にのぼり、事件には「イスラム国」が関与したとみられています。一方で、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの関与を示唆。ウクライナの痕跡を伝えるよう、国営メディアが指示されていた、との報道もでています。
137人もの死者を出した、モスクワ近郊でのテロ事件。ロシア当局は、次々と容疑者を拘束しました。
公開された映像には、拘束された容疑者とされる男が、うなだれるように壁にもたれる姿がありました。顔は、あざだらけです。他の容疑者も、顔や耳にけがをしていました。車いすで、ぐったりしている容疑者もいました。
なぜ、テロは起きたのか。映像では、容疑者とされる一人が拘束された際に…
――どうしてやった?
「お金で。50万ルーブル(約80万円) くらい」
ロシアのコンサートホールで起きた、銃乱射事件。
「機関銃を持ってこい! 全員殺せ!」
当時、ホールにいたのは、最大で6200人。
観客は、パニック状態に……。
「落ち着いて! 落ち着いて!」
死者137人にのぼっている“テロ事件”の実行犯とみられるのは、犯行声明を出していた、過激派組織「イスラム国」です。
容疑者とされる1人は、何者かから指示を受け、カネと引き換えに、人々を殺したと話しています。
――ホールで何をしていた?
“拘束された容疑者”
「銃撃した」
――どうしてやった?
“拘束された容疑者”
「お金で。50万ルーブル(約80万円) くらい」
ロシア当局はこれまでに、実行犯ら11人を拘束しました。
そのうち4人を起訴し、法廷に連行しました。このうち2人は、犯行を認めているといいます。
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東郷達郎記者(ロシア・モスクワ、24日)
「現場近くにできました献花台には、朝から多くの人たちが、花をもって訪れています」
事件を受け、ロシアでは、24日が“喪に服す日”となり、市民は祈りを捧げました。
そして、プーチン大統領も…。悲しげな表情を浮かべ、祈りを捧げる様子が、ロシア大統領府のSNSで公開されました。
そのプーチン大統領は、今回の事件をめぐって、“ウクライナが容疑者に協力した”とほのめかしています。
その理由について、中東情勢に詳しい専門家は…
現代イスラム研究センター 宮田律理事長
「今回のテロを、ウクライナのせいにして、ウクライナ戦争を継続したい、勝利する口実にしたい。プーチン大統領とすれば、今回のテロの背後にウクライナ政府がいると訴えて、ウクライナ戦争を正当化したい、という思惑があると思う」
ロシアの独立系メディアは、“ロシア大統領府が国営メディアに対し、ウクライナ人の痕跡の可能性を強調するよう、指示を出していた”などと伝えました。
今後、プーチン大統領が、ウクライナへの攻撃を強める可能性も指摘されています。