夢断念の過去も…ロヒンギャの“難民”女性、日本社会で自立めざす女性を支援
日本で暮らす難民が増える中、大きな課題になっているのが職探しなどの自立支援です。こうした中、1人の難民女性が後から日本に来た女性たちの支援に立ち上がりました。
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私たちが訪ねたのは、カディザさん(38)。カディザさんは、ミャンマーで長年迫害されているイスラム教徒・ロヒンギャです。
カディザさん「日本に来てから学んだ本全部です。捨てられないんですよね、思い出だから」
両親が身の危険を感じて避難したバングラデシュで生まれ育ち、2006年に来日。2人の子どもを育てながら日本の大学院を修了し、現在はNPOの事務を支援する企業「シェアードデジタルセンター」で正社員として働いています。
CEOとのミーティングでは――
シェアードデジタルセンター キムCEO
「タイムマネジメントでこの1年で学んだことは?」
カディザさん
「優先順位の高い仕事をその日のうちに終わらせる。ふと見たら、朝から晩までパソコンの前にずっと座ってる」
子育てと仕事を両立し、日々走り続ける理由は…
カディザさん
「難民だからできなかったことがたくさんあった。しかも女性だから、もっといろいろできなかった」
かつて、ロヒンギャの人々を救いたいという思いで、医師を目指して猛勉強していたカディザさん。しかし、難民であるために、夢を諦めなければならなかったといいます。いま抱いている新たな夢は、自分と同じイスラム教徒の難民女性の自立を支援すること。
カディザさん
「落ち着いて、ゆっくりやろう」
難民として見知らぬ国で暮らす苦労に加え、宗教上の理由で外で働きづらいことにより自立が阻まれている女性たち。カディザさんは、女性たちが自宅からリモートワークができるよう、経理のスキルをトレーニングしています。
カディザさん
「彼女たちもびっくりするくらい成長してます。もうちょっと成長したい、仕事がしたいと夢につながっている」
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カディザさんと勉強を進めているのは、来日して11年のムスリム女性・エイタンダーソーさん。故郷のミャンマーでは経理の仕事をしていましたが、ムスリムへの迫害が激化しているいまのミャンマーには戻れないと話します。
エイタンダーソーさん
「(経理の)仕事をもう一回やれるのがうれしい。でもときどき諦めたりもする。漢字とか勉強も難しい」
ネックは日本語。それでも頑張り続けるのは…
エイタンダーソーさん
「難しいけど頑張ります。子どものためにもね」
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ある日、女性たちをねぎらう会が開かれました。
キムCEO
「何が一番楽しかった?」
エイタンダーソーさん
「Exam!テストは楽しかった。ドキドキしたけど」
就労の機会を得て、社会への一歩を踏み出した女性たち。カディザさんは、あたたかく受け入れてほしいと願っています。
カディザさん
「(難民として)困難な状況を乗り越えた彼女たちは、絶対に新しい国でも頑張れる」「難民だからかわいそうじゃなくて、難民だから強いものと考え方を変えてくれたら、受け入れる国にとってもすごく大事な存在になるかもしれない」