NY近郊の原発閉鎖で抱える問題…トリチウムを含む水の排出めぐり賛否
東日本大震災から11日で13年です。福島第一原発の廃炉作業が進んでいますが、アメリカにも、トリチウムを含む水の排出をめぐり問題を抱える原発があります。
アメリカ最大都市・ニューヨークから55キロ、車で1時間の場所にあるインディアンポイント原発。過去に汚染水が漏れる事故があり安全性をめぐる懸念などから、2021年に運転を終了しました。
原発周辺で暮らす住民は…。
原発賛成派住民「良い商売だった。雇用も増えていたし」
原発反対派住民「残された廃棄物がどうなるかわからないからとても心配」
原子炉から核燃料は取り除かれましたが、トリチウムなどを含む570万リットルの水は核燃料貯蔵プールなどに残されたままです。
去年9月に廃水をハドソン川に放出する予定でしたが、住民らの反対を受け、ニューヨーク州知事は、川への放出を禁止する法案に署名。放出は阻止されましたが、原発からわずか3キロの場所に住む親子は…。
近隣住民・ティナさん「(原発から水の放出は)怖かったです。私には、がんで亡くなった親友がいるんです」
廃炉にあたるホルテック社は、全ての原発はアメリカ原子力規制委員会が定めた安全なレベルまで処理した水を排出していると説明。川に放出ができなくなったことで、水蒸気にして大気中に放出するなど別の方法を模索しています。
ただ、環境保護団体は、広い範囲にリスクが出るのではと懸念します。
環境保護団体・ビクトリア弁護士「少なくともトリチウムが半減するまで(約12年)、水は敷地内にためておくべきです」
一方、ハドソン川下流のニューヨークに住む原発エネルギー擁護派は、廃炉により化石燃料による発電が必要となり、環境汚染が進んでいると主張します。
原発エネルギー擁護環境団体・ディトマール会長「インディアンポイント原発が閉鎖され、(温室効果ガス)排出量が増加した」「原発からの排水は、環境には非常に小さい問題です」「原子力は最もクリーンなエネルギー生産方法です」
大都市・ニューヨークが抱える原発のトリチウムを含んだ水の排出に関する問題は、先送りされたたまです。