脚失った犬も…戦闘で大けがをしたペット保護の現場 ウクライナの飼い主に“つらい選択”も
ロシアの軍事侵攻が続くウクライナで、取り残され、大けがをした数多くの動物たちが今、隣国の施設で保護されています。一方、避難するときにペットを連れて行くのかどうか、ウクライナの人々もつらい選択を強いられていました。
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ウクライナの隣国、ポーランドでは、ウクライナで戦闘に巻き込まれたのか、右後ろの脚を失った犬が保護されていました。
獣医師
「このような犬が、ウクライナからたくさんポーランドにやってきます」
飼われていたとみられる首輪をつけた犬は、脚が折れ曲がっていました。ほかにも、包帯が巻かれた犬もいました。
保護施設のスタッフ
「私たちは毎日毎日、動物用の包帯を作っています」
激しい戦火の中で日常を奪われ、動物たちも傷を負っていました。ウクライナとの国境近くにある動物保護団体「ADA財団」の保護施設では、これまでにウクライナから約700匹の動物を保護しています。
背中の骨に銃弾を受け、後ろ脚が動かなくなってしまった犬もいました。
保護施設のスタッフ
「ここに銃弾が入っています」
銃弾を取り除くと命にかかわる可能性があるため、取り除くことができません。抵抗の少ない水の中で脚を動かす練習をしていました。
保護施設のスタッフ
「頑張ってるね」
脚の切断手術などが必要な動物もいます。
獣医師
「1日中、動物たちの保護をしています。今のところなんとかやっていますが、近い将来、断らなくてはならなくなるでしょう」
動物は、スタッフがウクライナに入って保護していますが、数が多く対応しきれなくなっていると話します。
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一方、ある犬について保護施設のスタッフが、「飼い主はこの犬を残して、避難しました。大きいから、連れて行くのが難しい」とも話すように、避難するときにペットを連れて行くのかどうか、ウクライナの人々はつらい選択を強いられています。
犬を連れてきた避難者
「犬は大切なので、残して1人で避難は絶対しません」
犬と猫を置いてきた避難者
「犬と一緒に電車に乗れないと聞いて、リスクを負いたくなかった…。言葉で言い表せない。涙がたくさん出た」
猫を両親に預けた避難者
「川のように涙が出てきました。『さよなら』を言うために、何度も家に戻りました。すごく心が痛かった」
施設では、保護した動物の新たな飼い主を探す活動も行っているということです。