強まるロシアの“支配” 隣国・モルドバでも“攻撃”か
ウクライナ南部のヘルソンで市庁舎が占拠され、市長が一方的に解任させられるなどロシアの支配が強まっています。一方、ウクライナの隣国・モルドバの親ロシア派が支配する地域で攻撃があり、ロシアの介入が懸念されています。
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26日、ウクライナの首都・キーウで、ロシアとの友好を象徴する記念碑が解体されました。
キーウ市民
「私たちの国で大量虐殺を行った唯一の国だから、記念碑は必要ない」
キーウ市民
「友情なんてなにもありません」
ロシアによる侵攻で、両国の関係が大きく変わりました。
「ウクライナに栄光あれ 」
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ロイター通信によると、ウクライナ北東部の都市ハルキウでロシア軍の空爆と砲撃があり、3人が死亡、7人が負傷したということです。
ハルキウの住民
「妊婦が救急車で運ばれました。バス停にいた人は砲弾で死亡しました」
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各地で戦闘が続く中、ロシア・モスクワで26日、プーチン大統領と国連トップ・グテーレス事務総長の会談が行われました。
ロシア プーチン大統領
「尊敬する事務総長、お会いできてうれしいです」
会談は、距離感のある長いテーブルを挟んで行われました。
プーチン大統領
「マリウポリでは戦闘はない。もう終わったことだ。戦闘は止まっている」
ロシア軍が封鎖したウクライナ南東部・マリウポリのアゾフスタリ製鉄所には、1000人以上の民間人が避難しているとされています。グテーレス事務総長は、民間人を安全に避難させるため、国連などが関わることを提案しました。プーチン大統領は「基本的に合意した」ということですが、実現するかは不透明です。
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ロシア軍がウクライナ東部や南部を中心に攻勢を強めている中、ロシア国防省は「南部ヘルソン州全域を完全に掌握した」と発表しました。
ウクライナ・ヘルソンからポーランドに避難してきた人に話を聞きました。
ヘルソンから避難してきた人
「ロシアの侵略者たちは勝利したと確信し、街中に旧ソ連の国旗を掲げています」
ヘルソンから避難してきた人
「(ヘルソンでは)爆発は今も続いています」
26日、ヘルソン市の市長はフェイスブックで、ロシア軍により市庁舎が占拠されたことを明らかにしました。そして、「一方的に市長を解任された」と話しました。
ヘルソン市長
「私は市民とともに、ヘルソンに残るつもりです。侵略者への協力を断りました。ヘルソンはウクライナです」
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アメリカの政策研究機関は、ロシア軍がウクライナ南部の占領地域で「人民共和国」設立のための住民投票を行う可能性を指摘しています。こうした動きについて、専門家に聞きました。
国際安全保障に詳しい 慶応義塾大学 鶴岡路人准教授
「ロシアの支配地域として、人民共和国という形で独立させる。これによって既成事実化を図って、中長期的にロシアの支配下に置いておきたい狙いは明確。ロシア化を進めると同時に、ウクライナの解体のようなイメージ。ルハンシク・ドネツクに加えて、ヘルソンの近くと、少しずつウクライナを解体していくということで、当初の戦争目的であるウクライナの無力化というところに深く結びついている」
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さらに、ウクライナの隣国・モルドバでも動きがありました。モルドバにも親ロシア派が支配する地域があり、電波塔や治安当局の建物が攻撃により被害が出たといいます。
親ロシア派側は「テロ攻撃があった」と主張しています。ただ、モルドバのサンドゥ大統領は、「ロシア寄りの分離独立派による、情勢を不安定にさせるための自作自演」との見方を示しています。