抗議デモの市民に威嚇射撃“閃光弾”も… ロシア軍占拠の都市で
ロシア軍に制圧されたウクライナ南部のヘルソンでは、ロシア軍が抗議する市民を解散させるために、空に向かって発砲していました。さらに、閃光弾が使われるのも確認されました。
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ロシア軍に制圧されたウクライナ南部のヘルソン。21日、広場で市民が抗議をしていると、爆発音が鳴り、続けて銃声が鳴り響く様子が撮影されました。撮影者は避難しますが、銃声はやむこと無く鳴り続けていました。
ロイター通信によると、ロシア軍が抗議する市民を解散させるために空に向かって発砲したということです。
別の映像では、広場に歩きながら入ってくるロシア軍とみられる姿がありました。そのうちの1人が何かを投げました。すると、白い煙があがり人々が一斉に逃げ出しました。使われたのは閃光弾です。
しばらくすると、ロシア軍とみられる車両が侵入してきて、広場を占拠する様子が映し出されていました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は「ヘルソンで侵略者は、一般市民を狙って射撃していた。自由のために、抗議デモに出てきた市民を。ロシア軍は、自由とはなにかすらわかっていない」と動画で訴えました。
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20日、首都キエフのショッピングセンターが攻撃を受けました。ウクライナ側によると、この攻撃により少なくとも8人が死亡したといいます。民間施設への“無差別攻撃”です。
一方、ロシア側は攻撃の正当性を主張する動画を公開しました。
ロシア国防省報道官
「ウクライナのロケットシステムがショッピングセンターに入り、隠れながらミサイルを再装てんする様子が鮮明に映し出されている」
ショッピングセンターが軍事施設として使われていたとして、民間人に対する攻撃は行っていないと主張しました。
一方、南東部のマリウポリを拠点とする治安組織が公開した映像には、次々と建物が爆発し、黒煙をあげる様子が映っていました。
日時などは明らかにされていませんが、ロシア軍が工業地帯を爆撃したものとしています。地元メディアは軍関係者の話として、マリウポリでは民間人の死者が3000人を超えたと伝えています。
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一方、隣国ポーランドの国境に近い町、ジェシュフにあるショッピングモールは、2階部分を改装しウクライナから避難してくる人を受け入れる避難所になっていました。
ウクライナに残った父親とテレビ電話をする家族に出会いました。
妻
「そっちはどう?大丈夫?」
夫
「ちょっとばたばたしている」
妻
「きょうは静かなの?」
夫
「砲撃があったよ」
いつまで夫と離ればなれになるかはわからず、不安な日々が続きます。
ウクライナから避難した人
「ここはもちろん安全で、サイレンも鳴らないし、隠れなくてもいい。でもやっぱり家に帰りたい。早く全部終わってほしいです」
平和への願いは届くのでしょうか。
カギを握る停戦協議の作業部会は、連日、行われていますが、思うような進展がないのが現状です。