激しさを増すロシアの“無差別攻撃” 増える民間人の犠牲
ロシアによるウクライナ侵攻が開始されてから、まもなく1か月。ロシア軍による攻撃は激しさを増し、民間での犠牲が増え続けています。首都キエフでは、新たにショッピングセンターが爆撃され、少なくとも8人の死者が出ています。
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ロシアが支配下に置いたと発表した、ウクライナ南部・ヘルソン。そのヘルソンで20日に撮影された映像には、道路にたくさんの市民が集まり、ロシアの軍用車両に対し、「帰れ」コールを浴びせる様子が映されていました。中には、ウクライナ国旗を持ったり、肩にかけたりする人の姿も。
へルソン市民
「帰れ!帰れ!帰れ!」
車両の前に大勢の市民が立ちはだかり、じりじりとバックしていきます。
市民の抵抗により、軍用車両は引き返していき、市民らは歓声を上げました。
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徹底抗戦を続けるウクライナ。ロシア軍は、民間施設への攻撃を激化させています。首都キエフで20日夜、ロシア軍による爆撃が行われました。すさまじい爆発とともに飛び散る破片。炎に包まれたのは、ショッピングセンターです。
救助隊
「あそこで誰か見つけた!」
ガレキと化した現場。すると、ガレキの中から1人の男性が救助され、担架へと乗せられました。
救助隊
「反対側から肩を引っ張って! 気をつけろ!」
夜が明け、明らかになった被害。ショッピングセンターは跡形もなくなっていました。この攻撃で、少なくとも8人が死亡したということです。
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激しさを増す、ロシアによる無差別攻撃。集合住宅も標的となりました。
キエフ市長は被害を受けた建物の前でカメラに向かい、「マンションは破壊され、窓は完全に吹き飛ばされ、車は全焼しました」と説明しました。
ロシア軍の攻撃でマンションの室内は一変しました。当時、ここには住人がいました。
住民
「(砲撃の時)キッチンから廊下に出るところでした。何の警告もなかった。どうやって生き延びたかわからない…」
ロシアによるウクライナへの侵攻が始まってから、まもなく1か月。
女性
「これから、どう生きていけばいいか…」
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80パーセント以上もの住宅が破壊された激戦地、ウクライナ・マリウポリでは、これまでに4万人以上が自家用車などで街を脱出しましたが、いまも35万人以上が地下や避難所に隠れて生活を続けているといいます。
地下で生活する女性
「最善のことを期待しています。生きていられるように…。外で枝を燃やして料理していますが、一週間後、枝や食料が切れたらどうしよう」
ロシア軍による、避難施設への攻撃もありました。ガレキに埋もれ、死傷者の数はわからないといいます。
ゼレンスキー大統領は、自身のSNSで「マリウポリの美術学校に爆弾を落とした。そこには約400人の民間人がいました。主に女性や子ども、高齢者です」と非難しました。
ウクライナ検察当局によると、これまでに奪われた子どもの命は115人。
西部リビウの広場に並べられていたのは、100台以上の空のベビーカー。1台ごとに、犠牲となった子どもへの追悼の意がこめられているといいます。
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ウクライナ・リビウ近郊の出身アナスタシア・コウバさん(23)。日本の大学院に留学するため、2019年に来日しました。
ウクライナ・リビウ近郊出身 アナスタシア・コウバさん(23)
「両親には毎日メッセージを送っていますし、メッセージが夜に返事なかったら、すごく心配になっている」
連絡は取れるものの、今もリビウ近郊にいるという両親。
アナスタシアさん
「お父さんは神父さんなので、自分の住んでいる村の人のメンタルサポートをしないといけないんです」
戦地へ行くことはなくとも、日々、心のサポートを行っているといいます。
母国を案じる毎日。見せてくれたのは、今もリビウに住み、日本語が話せる友人からのメッセージでした。
リビウ在住の友人
「今、誰もが精神的に非常に疲れ果てており、私たちが生きて目覚めるかどうか、目覚めた場所がまだ母国のままかどうか」
『空襲警報が鳴るたびに、地下シェルターに避難している』と、不安な日々がつづられていました。それでも――
リビウ在住の友人
「有志の方々が様々な物資を集め、それを必要とする都市に届けるなり、避難してきた者たちを助けるなり、戦いに必要なものを買い揃え調達するなり、暇を知りません。今後も戦いに必要な、致死力のないものでも、身を護るためのものの支援をお願いします」
アナスタシアさんも「ウクライナの今の状況を忘れないでほしい」と話しました。
「今のウクライナの現状を、日本に知ってもらうことが役目だ」と語ってくれました。