今後の戦況は? “重要”ハルキウ州のある都市…専門家「奪回すればロシアの計画は…」
ロシア軍は、ウクライナ東部の制圧に向け、攻撃を強めています。その拠点の1つとなっているのが、ハルキウ(ハリコフ)から南に約110キロの街、イジュームです。専門家は「確保し続けることがロシアにとって重要なポイント」と指摘します。
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ウクライナ北東部にある第二の都市、ハルキウ。21日、激しく炎上する車がありました。
住民
「ここも、ブチャとホストメリと変わらない。人、2人が燃えています。ほら見て!よく見てください!」
連日の攻撃により、いたるところで炎や煙が上がっています。
住民
「最初はビリビリと音が鳴って、(建物)全てが崩れてしまった、4階丸ごと。天井など全てが崩れ落ち、床は地下まで貫通しました」
東部の制圧に向け、攻撃を強めているロシア軍。その拠点の1つとなっているのが、ハルキウから南に約110キロの街、イジュームです。
先月20日に撮影された映像では、建物が崩れ落ち、あたりにはがれきが散乱しています。
イジュームの住民
「家に直撃です」
砲弾が直撃したという場所には、地面に大きな穴が開いていました。
イジュームの住民
「これが“ロシアの平和”です。空襲による攻撃でした」
撮影したマツォーキン副市長によると、今も1万人以上の市民が街に残っているといいます。
イジューム マツォーキン副市長
「4月1日から完全に占領されています。電気や水道、暖房はありません」
また、病院が破壊されたため病人が治療を受けられていません。
イジューム マツォーキン副市長
「多くの民間人(病人)が、ただただ、亡くなっています。多くの遺体がアパートのエントランスのそば、公園や畑で埋葬されています。深刻な状況です」
このイジュームについて、現代軍事戦略に詳しい「防衛研究所」高橋杉雄室長に話を聞きました。
「防衛研究所」高橋杉雄室長
「ドネツク州北部に進撃するために、イジュームが拠点になる。イジュームを確保し続けること、ロシアにとって重要なポイント。ウクライナ軍がイジュームを奪回するようなことがあれば、ロシア側の作戦計画は大幅に狂うと」
さらに、東部地域ではドネツク州北部での戦闘が重要だといいます。
「防衛研究所」高橋杉雄室長
「ドネツク州北部でロシア側が大勝利をおさめれば、再びキーウへの攻撃・進撃も可能性として出てくる」
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今後の戦況を左右する東部ルハンシク近郊では、住民が真っ暗な地下室に避難していました。外からは、爆発音が聞こえてきます。
住人
「こうやって、ほら、ほら!また」
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ロシア国防省は、軍事作戦の第二段階の目標として新たな方針を発表。東部に加えて南部も完全制圧し、実効支配しているクリミアと東部の領土の一体化を目指すということです。
(『news zero』より)