プーチン大統領、侵攻の正当性を主張 戦果などには言及せず
ロシアの首都モスクワで第二次世界大戦でナチス・ドイツに勝利したことを祝う「戦勝記念日」の軍事パレードが行われました。この中で、プーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻について改めて正当性を主張しましたが、作戦の具体的な戦果などには言及しませんでした。
戦勝記念式典の軍事パレードは9日、モスクワの中枢、赤の広場で、兵士ら1万人以上のほか戦車やミサイルなど多くの軍事車両などが参加して行われました。
航空部隊の展示飛行も予定されていましたが、天候が悪いという理由で取りやめとなりました。
ウクライナ侵攻についてプーチン大統領がどのように話すのか注目されていましたが、大統領は侵攻の正当性を改めて強調しました。
プーチン大統領「去年12月、安全保障について合意の締結を(西側諸国に)呼びかけた。ロシアは誠実に交渉しようと、双方の利益のため妥協を模索するよう西側諸国に呼びかけた。しかし、すべてが無駄だった。NATO諸国は我々に耳を貸さなかった。彼らの計画は全く違っていたのだ。ドンバス(親ロシア派支配地域)での懲罰的な作戦や、クリミアを含めた我々の歴史的領土に侵攻する準備が公然と行われていた。ウクライナ政府は“核兵器を手に入れる可能性がある”と表明した。NATOは、ロシアに隣接する土地に積極的に軍を配備し始めた。我々が到底受け入れられない脅威がロシアの国境付近に作り出されたのだ。日々、危険度が増していった。ロシアは敵対行為に対して先手を打ったのだ。やむを得ず、今やらなければならない唯一の正しい決定だった」
プーチン大統領はこのように述べ、軍事侵攻は唯一の正しい決定だったと改めて主張しました。
ただ、これまでの作戦の具体的な成果や一部で指摘されていた「戦争宣言」「国家総動員法」の適用といった新たな段階に踏み込むような発言はありませんでした。
プーチン大統領「第二次世界大戦でナチスを打ち負かした(旧ソ連の)人々は、永遠に語り継がれる模範的で英雄的な行為を我々に示した。勝利者の世代として常に我々のお手本になっているのです。ロシア軍に栄光あれ! ロシアのため! 勝利のため! 万歳!」
ウクライナでは東部を中心にロシアによる激しい攻撃が続いていますが、プーチン大統領が手を緩める兆しはなく、戦闘の長期化は避けられない情勢です。