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北朝鮮ミサイル2発を発射 米韓合同軍事演習への対抗措置か 新型ICBM発射の可能性も…警戒続く

2023年3月14日 19:55
北朝鮮ミサイル2発を発射 米韓合同軍事演習への対抗措置か 新型ICBM発射の可能性も…警戒続く

韓国軍は14日朝、北朝鮮が日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表しました。13日から始まっている米韓合同軍事演習への対抗措置とみられています。韓国の情報機関は、北朝鮮が来月までに、事前探知が難しい固体燃料型の新型ICBM(=大陸間弾道ミサイル)を発射する可能性もあると指摘しています。

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14日午前8時すぎ、官邸に入った岸田首相は、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとの一報を受け、「いま情報収集中です。我が国における被害は、いまのところ報告はされておりません」と述べました。

韓国軍は、北朝鮮が14日午前7時半すぎ、西部の黄海南道から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表。いずれも飛距離は約620キロと分析しています。

浜田防衛相(14日午前9時すぎ)
「現時点において、我が国の領域や排他的経済水域(=EEZ)内への弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、関係機関からの被害報告等の情報は確認されておりません」

浜田防衛相は、引き続きアメリカや韓国などと緊密に連携し、情報収集に全力をあげる考えを示しました。

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北朝鮮は今月9日、金正恩総書記立ち会いのもと、複数のミサイルを同時発射する訓練を実施したほか、12日には潜水艦から戦略巡航ミサイル2発の発射訓練を行ったばかりで、この1週間、立て続けにミサイルを発射しています。その背景にあるとみられるのが、13日から始まっている米韓合同軍事演習。今月23日までの日程で、5年ぶりに大規模な野外機動訓練も予定されています。

韓国国防省報道官は14日、「北朝鮮がミサイル発射などで合同演習を妨害しようとしても、韓米同盟は演習を正常に進めていきます」と述べました。

12日に朝鮮中央テレビは、「朝鮮労働党中央軍事委員会、第8期第5回拡大会議が行われました」と報じました。北朝鮮は演習開始直前、金正恩総書記も出席した軍の会議で“重大な実践的措置”を決定していて、「対抗措置」を議論したとみられています。しかし、発射の目的は対抗措置だけではない可能性もあります。

NNNソウル支局 河中春樹
「北朝鮮はミサイル開発を推し進めたいわけです。日米韓の連携強化の動きは『対抗措置』としてミサイルを発射する口実になります。さらに、国連の安全保障理事会では米中・米露が対立していて、ミサイル発射で新たな制裁が科される可能性もほぼありません。尹大統領は今週、日本、来月下旬にアメリカを訪問する予定で、ミサイル発射が警戒される外交日程が続くことになります」

アメリカのCSIS(=戦略国際問題研究所)も13日、韓国の尹錫悦大統領の16日からの日本訪問に合わせ、北朝鮮が「大規模な挑発」を行う可能性を指摘しています。

韓国の情報機関は、来月までに、事前探知が難しい固体燃料型の新型ICBMを発射する可能性もあるとみていて、関係国の警戒が続くことになります。