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23万人が森へ 増加するミャンマー避難民

2021年6月30日 21:41

ミャンマーで起きた軍事クーデターから5か月となる中、森などで避難生活を送る人が増加し、その数は23万人に上るという。なぜ多くの人が、避難を余儀なくされているのか?そして、支援には、思わぬ課題も…。

■森での避難生活 雨水をバケツにため飲み水に

激しい雨の中、森の中には、シートを屋根代わりにした小屋のようなものがあり、中では家族連れが身を寄せ合っている。戦闘から逃れるために自宅を離れ、森で避難生活を送っている。雨水をバケツにためて、飲み水などに使っているという。

映像は、今月上旬に、ミャンマー東部のカヤー州で、支援団体が撮影したもので、軍と地元の武装勢力との戦闘が激しくなったため、多くの市民が、森での避難生活を余儀なくされている。

■軍VS少数民族の武装勢力 自治権求めて戦った歴史

ミャンマーでは、クーデターに対する市民の抗議デモを軍が弾圧する一方で、地方では、同じようにクーデターに反発する少数民族の武装勢力が軍と戦闘状態になっている。ミャンマーは多民族国家で、もともと一部の少数民族が、自治権を求めて、軍の側と戦ってきた歴史がある。

■避難民の数は約23万人 大雨続き体調崩す人も…

地図上に示した赤い丸が避難民がいる地域。丸が大きいほど、その数が多い。国連機関によると、特に戦闘が激しい南東部では、カヤー州などで12万人以上、カイン州でも4万7000人以上の市民が、森などに避難しているという。こうした避難民の数は、ほかの地域も含めると、およそ23万人に上ると推定されている。

食料や水の不足も深刻な問題で、清潔な水が手に入らないためにおなかを壊したり、雨期のために大雨が続いて風邪をひいてしまうなど、避難民の中には、体調を崩す人も多くいるという。

■学校に行けない子どもたち「不服従運動」参加の教師が屋外で授業

学校に行けなくなった子どもたちも多くいる。避難民の子どもは、「学校に行けなくて悲しい」「(日中は)食べるために、カニを捕まえたりしている」「軍がいるので、村には戻りたくない」と話した。写真は、森に避難している子どもたちが、屋外で授業を受けている様子。地元メディアによると、クーデターに抗議して職場を放棄する、いわゆる「不服従運動」に参加している教師が教えているという。

■支援には課題も…軍に燃やされた米・油・薬

燃やされた車の中には、支援物資が積まれていた。地元メディアによると、今月、支援団体が3000人の避難民のために用意した米や油、薬を軍が燃やしてしまったという。軍は、避難所となっていた教会なども攻撃していて、避難民の中に、武装勢力が紛れ込んでいるとしている。

■戦闘は収まらず 村の焼き打ちに市民の武装も

AP通信などによると、今月15日には、軍が武装勢力のメンバーを探す中で、村を焼き打ちにし、およそ1000人が家を失ったという。また、市民が武装して軍と衝突する事態も起きていて、不安定さが増している。内戦への懸念も高まる中、人道的な問題にどう対処するか、国際社会の対応も問われている。