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中国 徹底的監視…人権派“締め付け”実態

2021年12月11日 17:49

北京オリンピックの外交的ボイコットや民主主義サミットの開催をめぐり、アメリカと中国の対立が深まっています。争点となっているのが中国の人権問題。中国国内で続く人権派への“締め付け”の実態を取材しました。

中国外務省報道官「これは徹底的に民主主義に反する行為だ」

10日、民主主義サミットで中国などを批判したバイデン政権に強く反発した中国政府。

中国外務省報道官「中国共産党の100年は人権を獲得し、尊重し、保障し、発展させた100年だった」

こう胸をはりました。

 ◇◇◇

同じ日、私たちが北京にある人権派弁護士の家に向かうと、家まで続く階段には、複数の男が居座り人の出入りを見張っていました。

その家に住むのが、人々の権利を守る活動が当局ににらまれ国家政権転覆罪で4年半、服役した王全璋さん。去年、ようやく釈放されましたが、そのあとも厳しい監視が続いているのです。

王さんが9日に撮影した映像。この日も、家の前には黒い服の人たちがいます。さらに、子どもを学校に送ろうとした際には、家の前にいた見知らぬ女が…。

女「大丈夫(子どもを)送ってやるよ」
王さん「そんなの安心できるわけない」
王さんの妻「冗談じゃない。あんた誰なのか知らないのに子どもを託すわけない!」

別の日、正体を明かすよう問い詰めましたが…。

王さんの妻「身分証明書を出してください。一体誰なの?」
男「それ必要だと思います?結構長く付き合ってきたじゃないか」

威圧するように立ちはだかります。彼らは、身元を明かしませんが警察関係者だとみられています。

人権派弁護士・王全璋さん「家の前にいる彼らから言われたのは、きのうはアメリカの民主主義サミットがあって中国の人権が注目されていると、だから私たちは見張られていて外に出られない」

10日は国連が定める「世界人権デー」で関連イベントに出るはずでした。

人権派弁護士・王全璋さん「(EU)大使館からイベントに出席するよう要請されていたが、男らに参加を許してもらえない」

王全璋さんの発言が欧米メディアに報じられることなどを警戒し、軟禁状態にしているのです。インタビューの最中にも、玄関前の監視カメラの映像には…。

記者「私たちがどんな話をしているのか聞き耳を立てている」

人権派弁護士・王全璋さん「政府が敏感になるイベントがある日は今のような状況に直面することになる。よくある状況です」

私たちが去る際、男らは目を合わさないようにしていました。

 ◇◇◇

この日、他の人権派弁護士や関係者の家の前にも不審な集団の姿がありました。複数の人権派弁護士らが軟禁状態となったことが、私たちの取材でわかりました。

10日、「世界人権デー」に合わせて中国の人権について問われた中国政府は――「中国は人権の促進や保護をとても重視している」

こう主張する一方で、人権派弁護士らへの徹底的な監視が続いています。