岸田首相は韓国の尹大統領と会談し、戦後最悪とまで言われた日韓関係を改善し、発展させていくことで一致しました。過去には、政府間の合意が覆されたこともありましたが、今回、関係改善は進むのでしょうか。今回、関係改善を後押しする2つのポイントがあります。

■過去に「トラウマ」も　岸田首相は当初「関係改善は慎重に」

有働由美子キャスター
「岸田首相は「尹大統領に賭けた」といい、ハヤシライスとオムライスにトンカツ…を一緒に食べたということですが、これで本当に日韓関係は改善に向かうのでしょうか」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「実は、岸田首相自身、当初は周辺に『関係改善は慎重に進めてほしい』と心配していたそうなんです。というのも官邸関係者によると、『自身が外務大臣としてまとめた、いわゆる慰安婦合意が後に事実上白紙になったことを、総理はトラウマとして感じている』ということなんです」

■関係改善へ2つのポイント　尹大統領の「並々ならぬ決意」が

有働キャスター
「それでも今回は関係改善をしたいという、その理由はなんですか？」

小栗委員
「大きく分けて2つのポイントがあります。まず、世論の反対も覚悟の上、尹大統領の『並々ならぬ決意』があったということです。いわゆる元徴用工をめぐる問題で、韓国政府が示した解決策について、韓国の世論調査では約6割が反対しています（韓国の調査会社「ギャラップ」調べ）。尹大統領が自らの支持率が下がるリスクを背負ってでも日韓関係の改善を図ってきたとあっては、日本側としても応じないわけにはいかないというわけなんです」

「もう1つは、強力な第三者、アメリカの存在です。実は、日韓首脳はそれぞれ、近くアメリカのバイデン大統領と会う政治日程が組まれています。来月には、尹大統領が訪米し首脳会談。5月には広島でG7サミットが開かれます。ホワイトハウスは、『日韓はアメリカの最も近い2つの同盟国』と言っていて、中国や北朝鮮への対応を考えても、日韓の関係改善が欠かせないと考えているわけなんです」

■「尹政権のうちに進められるものは進めたほうが良い」

有働キャスター
「つまり、アメリカに関係改善の“証人”になってもらおうということですか？」

小栗委員
「そうなんです。そうすれば、もし韓国の政権が変わっても、簡単には日韓関係を冷え込ませることはできないでしょうと。また、関係改善によって、外交面でも経済でも“こんなに日韓双方にメリットがある”ということを積み重ねていけば、韓国国内で時計の針を戻そうという動きもなくなるかもしれないです。ある外務省幹部は『尹政権のうちに、進められるものは進めたほうが良い』と話しています」

有働キャスター
「廣瀬さん、どう思いますか？」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「今後、どうなるのかわからないところはありますが、大統領の決断に歩調を合わせて、結果として韓国国内の世論を変えていくのは、良いと思いました。少し別の話になりますが、娘は韓国がすごい好きで、近いうちに一度、韓国へ行きたいなと思っています。国同士はいろいろありますけど、民間では隣国と引き続き交流を深めることは大事だなと改めて思いました」

有働キャスター
「16日も、北朝鮮はミサイルを撃っていますが、中国含めて東アジア情勢を考えると、16日の日韓首脳会談が最悪の関係から抜け出す一歩目だとして、二歩目、三歩目を踏み出して、今度こそ本当の信頼関係を築いていきたいです」

(3月16日放送『news zero』より)