メキシコとの「国境の壁」中止一転…建設を再開 バイデン大統領どう釈明? トランプ氏はSNSに皮肉も
メキシコとの国境を越えアメリカに大量に押し寄せる不法移民問題で、バイデン政権は、トランプ前政権の看板政策「国境の壁」の建設を一転、5日に再開する方針を発表しました。なぜなのでしょうか。
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アメリカ・テキサス州の国境の町イーグルパス。鉄条網が設置された川岸には、大勢の人々がいました。アメリカ側に渡ろうとする、中南米などからの“不法移民”です。小さな子どもを背負い、命がけで川を渡る姿も。国境の壁の一部は未完成で、貨物コンテナを並べている隙間などからも流入が続いています。
こうした不法移民への対策として、トランプ前大統領は「国境の壁」を打ち出しました。その後、バイデン大統領が建設を中断しましたが、5日に新たな動きがありました。
米・国土安全保障省
「アメリカへの不法入国を防ぐため、国境付近に物理的なバリアを建設することが急務だ」
バイデン政権は突如、「国境の壁」の建設を再開する方針を発表したのです。批判してきたはずの壁の建設を、なぜ再開したのでしょうか。
バイデン大統領は「壁の建設の予算はトランプ政権時代に決まっていて、別のことに使うよう議会に求めたが、認められなかった」と釈明しました。
バイデン大統領
「法律上、一度(国境の壁に)割り当てられた予算の使い方は変えられなかった。私には(壁の建設を)止めることができないのだ」
移民への対策として、壁の建設を否定し続けてきたバイデン大統領に、記者が質問すると――
記者
「壁は機能すると思うか」
バイデン大統領
「いいえ」
壁の有効性については改めて否定。ホワイトハウスも「政権としての政策変更ではない」と強調しています。
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バイデン政権は、移民受け入れに寛容な姿勢を示してきました。この間も移民の流入はやまず、南部の州の知事が、ニューヨークや首都ワシントンなどに“移民をバスに乗せて送りつける事案”も発生。与党・民主党の州知事からも、政権に対応を求める声が高まっていました。
一方、バイデン政権の不法移民対策で「人身売買や麻薬の密輸など犯罪が増えた」と批判してきたトランプ前大統領は、壁の建設再開の発表を受け、自身のSNSにコメントを投稿し、早速、トランプ節で皮肉りました。
トランプ前大統領のSNSより
「新しい、美しい壁を建設した私は正しかった。いかさまジョー・バイデンを見るのは面白い」
来年のアメリカ大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領。今回の壁の建設再開は、格好の批判材料を与えた形です。