×

中国で空前の“キャンプブーム“ 日本のメーカー「本格志向」売りに需要開拓

2023年10月14日 20:36
中国で空前の“キャンプブーム“ 日本のメーカー「本格志向」売りに需要開拓
中国で好評だという日本メーカーの「たき火台」

中国で今、「キャンプ」の人気が高まっています。需要の取り込みを図ろうと、日本のキャンプ用品メーカーなどが中国で初めて体験型の大規模イベントを開催しました。果たして、中国のキャンプファンの心はつかめるのでしょうか。

■空前のブーム きっかけは「ゼロコロナ政策」

中国・上海で14日から開かれているのは、「日本のキャンプ」を紹介する大規模なイベント。およそ40のキャンプ用品メーカーや、食品会社などが出展し、テントなどの装備のほか、キャンプでの食事に合わせた日本酒などを紹介しました。

中国語で「露営」とよばれるキャンプは、長らく愛好家のみが楽しむ“ツウ好み”のレジャーとして、徐々に浸透してきました。転機となったのは、新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ政策」。国や自治体をまたぐ移動が制限される中、近場で日常と違った体験が楽しめるキャンプなどのアウトドア活動への関心が高まったといいます。中国の調査会社による推計では、2025年にはキャンプ用品などの市場規模は5兆円に拡大すると見込まれています。

中国人のキャンプファンからは「日本製品はデザインがいい」「日本メーカーは細かいニーズに 合わせてくれる」といった声が聞かれました。

福岡県の手袋メーカー「東和コーポレーション」は、キャンプ用のグローブを出品。工場などで使われるものを改良したもので、外側には耐熱性に優れた牛皮を使い、人の手になじむよう縫製にもこだわっています。

新潟県から出店した「新越ワークス」の看板商品は、5種類を一つに収納できる鍋。米を炊くのにはアルミ製、煮物にはステンレス製…など用途に応じて材質を使い分けられるのが魅力だといいます。また、中国で人気となっているのが、たき火台。こちらのメーカーでは、見た目のデザインにこだわったものを発売したところ、“SNS映え”を意識する人々に好評だといいます。

営業・開発課長の横田直之さんは「ちょっと足りないなと思う部分を、自分たちで作れるのは製造メーカーの強み。仕上がりの丁寧さなどオリジナリティーを生かし、まねされないものを作り、たくさんの人に使ってもらいたい」と話します。

実際に中国のキャンプファンに聞くと、「日本のキャンプ用品はとても種類が豊富。それに消費者の細かい需要に合わせて、どんどん改善していくのがいい」といった声が。日本製品の評判は上々のようです。

   ◇

中国では、すでに多くのキャンプ用品メーカーが乱立していますが、商機はあるのでしょうか。JETRO(日本貿易振興機構)上海事務所によりますと、日本の中小メーカーが、いかに販路を確保するかに課題があるものの、日本の製品は質や機能性で定評があり、「本格志向」の製品にこそ大きなチャンスが期待されるといいます。

秋の夜長に、お気に入りの装備と共に過ごすキャンプ。その楽しみは万国共通なのかもしれません。