ロシアがウクライナの占領地域の住民に対しロシア国籍の取得を強要か 米大学調査チーム
アメリカ・エール大学の調査チームは、ロシアがウクライナの占領地域の住民に対し、ロシア国籍の取得を強要しているとする報告書を公表しました。従わない場合、拘束・連行のおそれがあるとしています。
ロシアによる戦争犯罪を調査しているエール大学・人道問題研究所は2日、新たな報告書を公表しました。
報告書によりますと、ロシアが占領地域に住むウクライナ人に対し、ロシア国籍の取得を強要しているということです。
プーチン大統領は、ことし4月にロシア国籍を拒む住民の国外追放を可能にする法律に署名していて、来年7月1日までにロシア国籍を取得してパスポートを受領するよう求めています。
報告書では、ロシアのパスポートがない場合、住民らは、医療サービスが受けられず、就労も拒否されるなど様々な制限があるとした上で、ロシア当局が住民らを「脅迫している」と指摘しています。
さらに、期限までにロシア国籍を取得しない住民は、外国籍または無国籍とみなされ、拘束されたりロシア本国の僻地に連れ去られたりするおそれがあるということです。
また、ロシアは、6月に起きた南部ヘルソン州のダム決壊による洪水の混乱に乗じて、ロシア国籍を持たない避難者への人道支援を拒否するなどして、国籍取得を迫ったということです。
調査を行ったエール大学のレイモンド氏は4日、「ウクライナ国民のアイデンティティーを破壊しようとする新たな試みだ」と述べた上で、「戦争犯罪にあたる可能性がある」と指摘しました。