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“ゼロコロナ政策”緩和の中国 感染急拡大で医療現場は混乱 点滴打ちながら診察する医師も…

2022年12月23日 18:53

ゼロコロナ政策が緩和され、感染の急拡大が続く中国で、感染の地方への波及が懸念されています。医療体制が脆弱な地方では、医師の不足などを伝える動画が次々と報じられるなど、厳しい状況が始まっています。

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23日、中国・上海で働く日本人の医師が、医療現場の現状を話してくれました。

上海の病院で働く日本人医師・消化器内科 友成暁子さん
「医療者の感染がかなり問題となっていまして、数日前の段階でうちの病院では7割のスタッフが感染してしまいました。非常に厳しい状況です」

“ゼロコロナ政策”を転換して2週間あまり。中国では感染の急拡大とともに、医療現場で異常が起きていると語りました。

中国メディアが報じた映像には、診療所の外で壁に向かって座っている人が映っていました。この時、行われていたのは点滴です。診療所がいっぱいで中に入りきれない患者が、路上で洗濯ひもからつり下げた点滴をしていました。

院内からも“悲鳴”があがっています。

看護師
「夜勤を終えて2日休めますが、熱もあります」

医師らの感染も相次ぎ、疲労は限界に達していました。四川省では、診察の最中に意識が途切れたのか、医師が倒れて運ばれていました。感染は医療関係者にも急拡大しているとみられます。

河南省の医師が診察中に持ち運んでいたのは点滴です。しかし、その管は患者ではなく医師につながれていました。医療崩壊の到来も予感させる深刻な映像ですが、SNS上では「心から尊敬します!」などのコメントが寄せられるなど、美談として注目されていました。

医療現場で過酷な勤務が行われている理由について、日本人医師は…

上海の病院で働く日本人医師・消化器内科 友成暁子さん
「(中国では)陰性にならないと出勤しちゃいけないというルールは(現在)ないので、陽性でも医療者は出勤可能なので、(中国では)出勤できる状態になったら出勤しているのが現状です」

この医師の病院では、症状があれば在宅での待機を徹底しているものの、中国各地では当局の通達により、医療従事者は陽性であっても出勤できる状態になってしまっているということです。

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こうした中、中国に住む日本人がコロナに感染し死亡しました。

松野官房長官
「新型コロナウイルス陽性で(中国で)死亡した邦人が1名いると承知しております」

亡くなったのは内陸部・重慶市に住む40代の日本人男性で、検査でコロナの陽性が確認されていたということです。

中国の現状に対し、WHO(=世界保健機関)は…

WHO テドロス事務局長(スイス・ジュネーブ、21日)
「深刻な疾病の報告が増加している中国の状況の進展に非常に懸念している」

中国・武漢で感染が広がってから3年。ゼロコロナ政策緩和の影響が中国各地に及び始めています。