外務省「事実に基づかない内容が含まれている」処理水めぐり中国側へ回答
外務省は、9月7日に駐日中国大使館ホームページに掲載された、ALPS処理水の海洋放出に関するコメントについて、「事実に基づかない内容が含まれている」として、中国側の指摘に対して回答したことを発表しました。
外務省によりますと、駐日中国大使館の報道官は、「日本はIAEA事務局に、日本が自ら採取したサンプルの分析と実験室比較を一度委託したが、中国側への参加の招待はなかった」とコメントしているということです。
これについて外務省は、
▽IAEAの枠組みの下で行われるモニタリングの比較評価において、どのような国のどのような分析・研究機関が参加するかは、IAEA自身が、IAEAの放射線分析機関ネットワーク(ALMERA)の中から選定するものであり、日本として、そこに参加する分析・研究機関の選定に関与できるものではありません。
と回答したということです。
また、駐日中国大使館報道官は、2つ目のコメントとして「日本側が提供したサンプルに基づく実験室比較活動では、日本側の検査結果の信頼性を十分に証明することはできない」と指摘しているということです。
この点について外務省は、
▽ALPS処理水の海洋放出に関するモニタリングについては、IAEAが日本側の分析手法の適切性をレビューしている。
▽本年5月に発表されたIAEAの報告書で、IAEAと第三国の分析・研究機関が分析するALPS処理水のサンプリング手法は、IAEA立ち合いの下で、代表的な試料を得るために必要な適切な基準に従って行われていると明記されている。
▽その上で、IAEAと第三国の分析・研究機関は日本と共同で海域のサンプルを採取し、その分析を行い、日本側モニタリングの適切性を確認している。
▽9月8日、IAEAが独立した立場で行った海域のサンプリングの分析結果が公表されていて、トリチウム濃度が基準を下回ることが確認されている。
と回答しています。
日本政府は、「今後もALPS処理水について、高い透明性をもって、科学的根拠に基づく丁寧な情報提供を続けていく」としています。
また、中国政府による事実関係や科学的根拠に基づかない発信は、「安全性に関する誤解や、人々の不安をいたずらに高めるものであり、強く懸念している」として正確な情報を発信するよう引き続き求めていく方針です。