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安保理 初の議長声明採択 ロシア含めて全会一致のワケ

2022年5月7日 9:05
安保理 初の議長声明採択 ロシア含めて全会一致のワケ

国連の安全保障理事会は6日、ウクライナ侵攻が始まって以来初めて全会一致で議長声明を採択しました。ウクライナ侵攻をめぐり「機能不全」と批判された安保理が侵攻から2か月あまりすぎたこのタイミングで一致した対応をみせたワケは。

■ロシア含めて全会一致で採択された「議長声明」とは?

今回、ロシアも含めた安保理の全理事国が一致して採択した「議長声明」の全文は4項目からなるシンプルなもの。

・安保理はウクライナの平和と安全の維持について深い懸念を表明する。

・安保理は全ての加盟国が国連憲章の下で平和的手段により国際紛争を解決する義務を負っていることを想起する

・安保理は平和的解決の探求に向けた事務総長の努力に強い支持を表明する。

・安保理は事務総長に対し、声明の採択後、適切な時期に状況説明を行うよう要請する。

「ロシア」の文字はどこにも入っていません。

安保理「決議」は常任理事国15か国中、9か国以上が賛成し、かつ常任理事国が拒否権を行使しない場合採択されます。

一方、今回採択された「議長声明」は全理事国の賛成が必要です。

1か国でも反対した場合採択されないため、関係者は「議長声明」は“玉虫色”になりがちだとしつつも今回は「タイミング」がカギだと指摘しました。

■タイミングから垣間見える国連の“努力”とは?

国連のグテーレス事務総長は、4月末にロシアとウクライナを訪問し、プーチン大統領、ゼレンスキー大統領と相次いで会談。

また国連と赤十字が協力しマリウポリ周辺から民間人の避難も進行中です。

このタイミングで全会一致の採択にこぎつけたことについて関係者は平和的解決に向け、国連がロシアと西側諸国双方に対して信頼関係を作る努力をしていることが垣間見えると述べました。

議長声明が採択された後、記者団からは「ロシアは本当に外交を求めているのか?」という質問が飛びました。

声明を起草したメキシコの国連大使は「きょうが第一歩である。2か月以上かかったが、きょうがその始まりの日であってほしい」と述べました。

またグテーレス事務総長は「安保理は初めて、ウクライナの平和を求める声を一つにした。私は平和の道を見いだすための努力を惜しまない」とのコメントを出しました。

今回の議長声明が平和解決に向けた国連外交の第一歩となるのかが今後の焦点です。