ウクライナの将来に暗い影を落とす…手足失った若者ら4万人どう支援?
ロシアによるウクライナ侵攻から来月で2年。手足を失った人は4万人に上るとの推計もあり、支援が課題となっています。
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無人機やミサイルを組み合わせ、空からの攻撃を強めているロシア。ウクライナでは多くの命が奪われ続けています。こうした中、ウクライナの将来に暗い影を落とす問題が──
スーパーヒューマンズセンター アンドリィー・スタウニツェル氏「ロシア軍は撤退する際に民間人を狙って多くの地雷を残しています。たくさんの民間人が地雷で手足を失っています」
義肢の装着などを行う病院の関係者によると、侵攻開始以降、手足を失った人は推定4万人以上。ウクライナ社会はこうした人々をどう支えていくのかという深刻な問題に直面しているのです。
スーパーヒューマンズセンター アンドリィー・スタウニツェル氏「ほとんどの患者は若者です。彼らに障がい者や戦争の犠牲者と思ってもらいたくありません。ちゃんとしたふさわしい生活を送ってもらいたいのです」
義肢の製造が追いつかない中、日々の生活を送るため、いま多くのウクライナ人が車椅子を必要としています。
先月、車椅子の発送作業に追われていたのは、京都のボランティア団体「スイマルク」。
スイマルク代表・谷口博さん「(ウクライナで)けが人等たくさん出ていて、なにかできないかなと」
日本全国から寄付を募って集まった車椅子を整備し、ウクライナに送る活動を行っています。
谷口さん「日本の車椅子、軽くて機能もいいんですね。使いやすいということで大変喜ばれています」
これまでに送った車椅子は300台。その車椅子には寄付した人の様々な思いが込められています。
このボランティアを通して車椅子を寄付した笹井余志子さん。車椅子を使っていたのは、20歳で亡くなった息子の大資さんです。
大資さんは4歳の時に筋肉が徐々に衰えていく難病「筋ジストロフィー」と判明。小学校1年生の頃から車椅子生活となり、今回寄付した車椅子は高校生の頃から使っていたものだといいます。
笹井余志子さん「呉に一緒に旅行行きましたし、ディズニーランドに私も一緒に付き添いで行きました」
大資さんとの思い出がつまった車椅子。亡くなった後もなかなか手放すことができずにいたところ、ボランティア団体の活動を知り、ウクライナに寄付することにしたといいます。
笹井余志子さん「彼が使っていたのが役に立つというのが本人もうれしいし、家族としてもすごくうれしいです」
大切な人の思い出がつまった車椅子。しかし今、支援の継続が危ぶまれる状況に直面しているといいます。
スイマルク代表・谷口博さん「(車椅子を)集めてそれを送る資金ですね。小さなボランティア団体ですので」
車椅子50台を整備し送るためにかかる費用はおよそ60万円。さらに──
谷口さん「一時はこれが入りきらないくらいの車椅子が集まっていたんですけど」
車椅子の寄付も徐々に減少。
谷口さん「やはり支援疲れというか、忘れられちゃうというかね、ウクライナへの関心が薄れてきたなと」
戦闘が長引く中、必要とされる支援をどう続けていくかが問われています。