“脅し”で終わらず武力衝突も……「ロシアに攻撃的なのはウクライナ」 プーチン大統領「平和維持」の言い分と計算は?
緊迫するウクライナ情勢をめぐり、ロシアのプーチン大統領が「平和維持」の大義名分を掲げ、親ロ派が支配する2地域への派兵を指示しました。ウクライナは分裂し、武力衝突に発展する可能性があります。強硬姿勢を崩さないプーチン氏の思惑とは―?
■強硬…プーチン大統領の考えは?
有働由美子キャスター
「アメリカのバイデン大統領は(対応に)迷っている、悩んでいるということですが、この先、武力衝突は考えられるのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「あります。ロシアのプーチン大統領はかなり強硬です。今回、演説で『欧米はロシアにさんざん冷たい態度を取ってきたじゃないか』『ロシアに攻撃的なのはウクライナの方だ』と言いました」
「こうなったらロシアとしては、(親ロ派が支配する『ドネツク人民共和国』『ルガンスク人民共和国』の)2つの地域はいただくという考えなのでしょう。事実上、奪いに行きました」
有働キャスター
「これまでの脅しでは、もはや終わらなくなったと」
小野委員
「そういうことです。そしてウクライナは今、国が分裂する危機にあります。そのため、この2地域を取り戻そうと、ウクライナが攻撃して武力衝突が起きる可能性があります。プーチン大統領はそれも織り込み済みです」
■強い脅し…首都キエフ近くで軍事演習
小野委員
「ロシアはまだ、(ウクライナ周辺の)三方に大規模な部隊を配備したままです。中でも力を入れているのが、北側のベラルーシに派遣した部隊です」
「ロシア軍とベラルーシ軍との軍事演習の映像を見ると、激しいミサイル攻撃の様子が映っていて、軍事車両が隊列を組んでいます。まるで侵攻を想定しているようです」
「なぜここが注目されるかというと、目と鼻の先にはウクライナの首都キエフがあるからです。ウクライナや欧米の出方次第では、キエフに攻め込めるぞという強い脅しになっています」
■止められる? したたかに計算か
有働キャスター
「これは全力で避けなくてはいけないところだと思いますが、プーチン大統領を止められるのでしょうか?」
小野委員
「『止められるなら止めてみろ』と、プーチン大統領はしたたかに計算しているのではないでしょうか」
「『地域住民の平和維持のため、正当な手続きを取ってやっているのだ』。そして『もし欧米が軍事的に直接ロシアに立ち向かうなら、核戦争になる』。それは誰も望んでいません。ただプーチン大統領はそれを逆手にとって、武力で押して実を取りに行っています」
■「平和維持」の言い分どう見る?
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「専門ではありませんが、2つの地域を独立承認した上で国内の平和維持活動の支援と言っていますが、周辺諸国からすればある程度、詭弁と見えると思います」
「つまり、内部の親ロシア派は大義名分があると言い出すことと、過去の戦争も全てそうだったと思いますが、どちらにも大義がある状況が生まれれば、ある程度、戦争や武力衝突は避けられないのかなと、素人ながら思います」
「どちらかというと中国がダンマリなのが気になります。ただ長期化はしないだろうと予測はしています。経済制裁自体は尾を引きそうな気がしますが」
有働キャスター
「こういった力を背景にした現状の変更が日本の周辺で起きたら、という風に考えてしまいますが、ウクライナのこの問題は、エネルギーや株価など目に見える形で日本にも影響が既に及んでいます」
(2月22日『news zero』より)