本当は飛ばしたかった? ロシア軍事パレードの目玉“終末の日の飛行機”が飛行中止
ロシアでは9日、第二次世界大戦で旧ソ連がナチスドイツに勝利したことを祝う「戦勝記念日」の軍事パレードが行われました。核戦争が起きた際、大統領が乗り込み指揮を執るとされる“終末の日の飛行機”は、パレードの目玉とされていましたが、「天候不良」を理由に飛行中止となりました。
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「戦勝記念日」を祝うロシアの軍事パレードは、プーチン大統領の演説直後に始まりました。集まった兵士らは、去年より少ない約1万人。ウクライナ東部・ドンバスで戦っていた部隊もいたといいます。
まず登場したのは、第二次世界大戦で使われた戦車です。ロシアの安全保障に詳しい防衛研究所の山添博史主任研究官は、「このT34で始まって、『第二次世界大戦、我々の軍があったから平和が保たれた』というストーリーに基づいて、その思い出を呼び起こす。“いつも通り”という印象を受けています」と話しました。
大陸間弾道ミサイルや、核を搭載できる「イスカンデル」もパレードに登場。山添氏によると、いずれも過去、何度も登場したもので、目新しいものはなかったといいます。ウクライナで戦況がこう着する中、過度な演出を避けたとみています。
パレードの目玉とされていたのが、2日前のリハーサルに登場した、“終末の日の飛行機”と呼ばれる「イリューシン80」です。操縦室以外に窓のないこの機体。核戦争が起きた際、大統領が乗り込み指揮を執るとされています。
しかし、航空部隊は、「天候不良」を理由に飛行中止になりました。
――「イリューシン80」をパレードで使いたかった?
山添主任研究官
「そうだと思います。パレードのリハーサルで飛ばしてるってことは、国内にも国外にも、核戦争が起こった場合にも、大統領がこうやって指揮をすることができるということを示しているわけで、核戦争に対しての準備は整っているように見える」
式典直後、カメラの前に現れたプーチン大統領は、満足そうな笑みを浮かべていました。プーチン大統領は式典に参加した人に手を上げ、「ロシア! ロシア!」とロシア・コールに包まれながら、会場を後にしました。
(5月9日放送『news zero』より)