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なぜ6月は”小学1年生の交通事故“が増加?子どもの「目線」で通学路を歩いてみると

2024年5月28日 18:30
なぜ6月は”小学1年生の交通事故“が増加?子どもの「目線」で通学路を歩いてみると

ピカピカの1年生になって、もうすぐ2か月。実は、これからが年間を通して最も「危ない時期」の一つなんです。

(スタジオ)
松岡アナ:
入学したばかりの4月ではなくこれからが危ない時期なんですね。

杉本記者:
過去5年間に県内で「歩行中」に交通事故でケガをした、または亡くなった小学生は102人。学年別にみると…1年生は25人と全体のおよそ25%を占め、最多となっています。

そして、注目したいのが「発生した月」です。1年間で2つの“山”があります。1つ目は6月、2つ目は夏休み明けの9月~11月にかけてで、これは全国のデータを見てもほぼ同じ傾向です。

松岡アナ:
まさに6月が「第一の山」なんですね。要因としてはどういうことが考えられる?

杉本記者:
県警の交通企画課などによると
・ちょうど小学校に慣れてくる時期
・梅雨に入り見通しが悪くなるなどが背景にあるのではないかということです。

交通安全教室が開かれていた福音小学校の1年生やその保護者に聞いてみました。

小1 女子:
Q.歩いて来るのはどう?
「ちょっとだけ足が疲れる」
Q.どんな気持ちで毎日来てる?
「楽しい気持ちで来てる」

小1 男子:
Q.学校はどう?
「みんなとおしゃべりすることが 楽しいです」
Q.どんな気持ちで歩いてる?
「早く学校着いてほしいな~って」

保護者:
「なんでも自分でしたがる年なので。『お母さんは付いてこないで、一人で行く!』と自立心というか自立してきたなと感じます」

(スタジオ)
松岡アナ:
1年生が学校生活に慣れてきた時期ということなんですね。

杉本記者:
これから増える小学1年生の事故をどうすれば防ぐことができるのか?今回は毎年小学1年生を見守る2人を取材しました。キーワードは「目線」です。

6月頃から小1の事故が増える要因は

松山市の交通安全指導官、徳本さんです。毎年この時期、小学校に出向き子どもたちに交通ルールを伝えています。

Q小1の事故なぜ多い?
松山市都市・交通計画課 交通安全指導官 德本和雄さん:
「5月6月頃になると緊張がとけてきて楽しいこともあるし、そういう状態の時に事故が起こりやすくなっているのではないかと考えています」

「大人の視野は150度くらいと言われていますが、子どもは90度くらいしかないと言われています。それで右左の確認をするときも、見る範囲が狭くなるのではないか」

また、体が小さく車の死角に入りやすいなどドライバーから「見えにくい」ことも、事故に遭いやすい要因です。

大人が見る景色とはこんなに違う!“子どもの目線“

そこで、子どもたちが通学に慣れ始めたこの時期だからこそ、ぜひ保護者に実践してほしい!というのが…

徳本さん:
「(目線を)うつすとこんな感じなんですね。だから あんまり上の方に目がいくのかどうか…?」
杉本記者:
「大人だとこっち(遮断機)に目がいくんですけど、子どもだと目の前の線路の方に目がいく」

通学路など、普段子どもが使う道を子どもと「一緒に」、「同じ目線」で確認することです。

徳本さん:
「見る高さでちょっと角度は変わりますね」
杉本記者:
「だいぶ変わりますね」

例えば、こちらの踏切。身長160センチの大人だと奥のホームや電車が見通せますが…小学1年生の平均身長およそ120センチだと…遮断機で隠れ、見えづらくなります。

また、こちらの交差点。大人は右を向くと走ってきている自転車をすぐ発見できますが…小学1年生は、目の前の生垣で視界が遮られ、自転車が見えなくなることが分かります。

徳本さんは、子どもの「見え方」を知った上で、特に危険な交差点などで・どんな危険がありそうか・どうすれば安全に通ることができるかを具体的に会話してほしいと言います。

徳本さん:
「この位置だったら見えないから、ちょっとだけ顔を前に出して体ごと向けてみてみる?そしたら見えるよね。という感じがいいかもしれませんね」

登校見守りを続ける保護者がみる“通学路の問題点”

子どもたちを事故から守る、もうひとつの『目線』は。

河﨑さん:
「おはよう、気を付けていってらっしゃい」
児童:
「行ってきます」

松山市・津田中学校のPTA会長河﨑元さん。現在、中学3年生の長女が小学校に入学した8年前から毎朝、近隣の味生第二小学校や津田中学校の通学路を自主的に見守っています。

河﨑さん:
「子どもたちがどういう状況で歩いてきているのか、自分が知らないと子どもたちに声かけてあげることもできないなと思って。少しでも子どもたちが安心できるように、というのを第一に考えて毎日見ている感じですね」

この日、河﨑さんが最初に見守りを行ったのはおよそ180人の児童が通るこちらの道。空港通りと新空港通りをつなぐ中央線のない直線道路で、子どもたちは道路右側の路側帯に引かれたグリーンベルトを歩いて登校します。

河﨑さん:
「7時過ぎくらいになってくると、どんどん車の数増えてきて、かなり抜け道として使われる方が多いので同じ方向に道が4本くらい通ってるんですけど、どの道も交通量が多くて」

学校では、他の道に比べて比較的道幅が広く、人目につきやすいなど防犯面も考慮した上で、この道を通学路に指定しています。

しかし、この5年ほどで全校児童数は増加傾向で、住民が増えていることからこの道を通る車の台数も増加傾向にあるといいます。

河﨑さん:
「子どものぎりぎりを通っていくので、車1台通ればもういっぱいなんだけど2台が 離合しようとしたりすると、ほんと子どもすれすれを走ってるんですよね」

「一番接触事故が多いのがこの交差点。何年か前には走ってきたバイクがこのあたりで子どもたちにちょっと引っかかっていく、みたいなこともあって」

「毎日どこかでヒヤッとする」大切なのは目線を向け続けること

続いては、見通しが悪く、歩道がないこちらの交差点。自転車やバイクと小学生の列が対面し、接触の恐れがあるため、河﨑さんが特に見守りを強化している場所のひとつです。

河﨑さん:
「僕がいてみんなが(スピードを)ゆるめながら行ってくれるだけでちょっと違うかな。旗当番さんもそうですし、時々お巡りさんも立ってくれるんですけど、そういう人の目があることがこういう交差点は大事なんだろうなと思って」

河﨑さんはドライバーに減速を呼びかける看板を設置したり、ガードレールを撤去して子どもが安全に通行できるようにしたり。校区内の危険箇所を見つけては、学校や行政などと協力してこれまでにおよそ20か所を改良してきましたが…

河﨑さん:
「これだけやってても100%にはならないんで、結構スピードの出てる車とか、注意しない自転車とかもいて。毎日どこかでヒヤッとする場面はありますよ」

事故を防ぐために。河﨑さんが大切にしているのは、ハード面の改良だけでなく、通学路を通るドライバーや子どもに、どうすれば事故を防ぐことができるかという『目線』を向け続けることです。

河﨑さん:
「保護者さんたちには道路まで出るとか交差点まで出るとかしなくていいんで、家の軒先で“軒先見守り”してください。行ってらっしゃいっていうのでちょっとでも、いい気持ちというか楽な気持ちで行ってくれたら、慌てててもちょっと気持ち違うかなと思ったりして」

津田中3年生:
「ありがたいことやなって思ってます。見守ってくれてあたたかいなって」

津田中3年生:
「すごい声かけてくれたりして安心できます」

河﨑さん:
「小さなことの積み重ねでしか子どもたちの安全って守っていけないんだろうなと思って。ちょっとずつ優しさをもうひとつ前に出していただいて周りを見ながらってしていただくと子どもたちも安心できるし、交通事故も減るんじゃないかなと思ったりするんですけどね」

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