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【解説】自民党“刷新”今後の焦点 「連座制」の導入は?

2024年1月22日 20:38
【解説】自民党“刷新”今後の焦点 「連座制」の導入は?
派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け、自民党の「政治刷新本部」は22日、所属議員が誰でも参加できる形で2度目の議論をおこなっています。焦点となっている「連座制」は導入されるのか。今後のポイントについて、前野全範記者が解説します。

■裏金の使い道、不記載への関与に説明は?

――安倍派議員の“裏金問題”について

政治部・与党担当キャップ 前野全範
「安倍派の幹部らはいずれも議員辞職については否定し、裏金の細かい使い道については説明しない人が数多くいました。『不正な支出ではない』『裏金ではない』と強調した上で『政治活動費に使った』と弁明する議員も複数いましたが、不正な支出ではないなら、なぜ何に使ったのかを説明できないのか、疑問が残る内容となっています」

――不記載への関与については、どういう説明があったのか?

政治部・与党担当キャップ 前野全範
「高木前国対委員長は『歴代会長と会計責任者の間でやってきたことで、自分たち派閥の幹部は知らなかった』と説明するなど、亡くなった安倍元首相や細田前議長、さらには在宅起訴された会計責任者に責任を押しつけたとも取れる説明が相次ぎました」

■“派閥解散”にずれた論点 安倍派幹部に説明求める声も…

――一方で幹部以外の安倍派議員はどう対応しているのか?

政治部・与党担当キャップ 前野全範
「安倍派は最大派閥でした。そして約100人いた安倍派の大半は、派閥側からキックバックを受けていたことが判明していますが、記者会見などを開いて説明した議員は、22日時点で十数人にとどまっています。

本来であれば、再発防止のためにもまず第一に、なぜ裏金を作ったのか、その使い道はなんなのかを説明すべきですが、そこが置き去りになって、自民党の派閥を解散するかどうかに論点がずれてしまっている部分もあります」

――自民党内からは、安倍派幹部らに説明を求める声は出ていないのか?

政治部・与党担当キャップ 前野全範
「そういう声も出ています。例えば、自民党内からは党幹部が『このままでは済まない』と語るなど、安倍派幹部らに刑事責任とは別のかたちで、党として独自の処分を下すべきとの声が高まっていて、自民党が自ら厳しい処分を出せるかが今後の注目点の1つとなります」

■「派閥の解消」まで踏み込めるのか? 問われる岸田首相の手腕

――刷新本部で焦点となっている「連座制」は導入されるのか?

政治部・与党担当キャップ 前野全範
「連座制については、自民党内には慎重論も根強く、秘書がわざと違法行為をして議員を陥れるようなケースを懸念する声が上がっています。いずれにしても、これを導入する場合は政治資金規正法の改正が必要で、国会で与野党で議論することになります」

――刷新本部は「派閥の解消」まで踏み込めるのか?

政治部・与党担当キャップ 前野全範
「派閥の解消については、複数の自民党幹部が『中間取りまとめでは派閥の解散まで踏み込まず、各派閥に判断を委ねる方向で調整している』と述べています。ただ、新たに派閥の全面撤廃を求める会議が立ち上がるなど、無派閥の議員を中心に派閥の解散を求める声も強いです。ある自民党幹部は、『党としての本気度が問われている。若手議員も30年前と比べるとエネルギーが足りない』ですとか、別の幹部も『派閥から人事と金の機能を奪うだけでは、国民は納得してくれない』と語っていて、岸田首相の手腕が問われる局面になっています」

――岸田首相は岸田派の解散を打ち出しましたが、党内への影響はあるのか?

政治部・与党担当キャップ 前野全範
「これはあります。岸田首相が麻生副総裁、茂木幹事長に事前の連絡をせずに岸田派の解散を宣言したことの波紋が広がり続けている状況です。岸田政権はこれまで岸田首相、麻生副総裁、茂木幹事長の3人の派閥トップが中心となる『3頭政治』で動かしてきましたが、麻生副総裁と茂木幹事長は連絡がなかったことに強い不快感を示しています。関係者によると、麻生副総裁は周辺に対し『岸田首相の派閥解散は人気取りのポピュリズムだ。今後は同じ気持ちってワケにはいかない』と話しているということで、不満をあらわにしています。刷新本部の議論の着地点によっては、岸田政権自体が一気に不安定化するおそれもある状況です」