育休支える社員に10万円給付! 家事・育児の分担セミナー!? 一歩進んだ企業の子育て支援とは
待ったなしの少子化対策。政府も最重要課題として取り組んでいますが、現場で本当に求められていることは、なんでしょうか。一歩進んだ企業の取り組みを取材しました。
■育休“業務を引き継いだ人”に最大10万円
都内にある建築会社。
育休を取る高山さん「この前の引き継ぎ表のエクセル、開いてもらってもいい?」
これから半年間、育児休業を取る高山さんは、部下の齋藤さんに業務の引き継ぎをしていました。
齋藤さん「不安は、ちょっとあります」
齋藤さんは業務量が増えますが、負担だけではありません。実は、この会社、育児休業を取る人から業務を引き継いだ人に対して、手当を支給しているのです。その額、最大10万円です。
齋藤さん「(仕事の)量が増えても頑張ろうかなという気持ちにはなるかなと思います」
高山さん「(引き継ぐ側も)気持ちは少し楽になる」
「育休を取ると職場に迷惑をかける」などと思わないように導入したというこの制度。担当者が説明しました。
担当者「引き継ぎ者への後ろめたさが軽減され、お互い気持ちよく育休に入れるのではないかと考えました」
男女問わず、育休が取りやすくなるよう、環境作りが進んでいます。
■「とるだけ育休」 育児・家事は妻が多く負担
しかし、こんな調査もあります。夫が育休中、1日あたり何時間、育児・家事をしたか聞いたところ、およそ半分が「3時間以下」と回答。いわゆる「とるだけ育休」の問題や、共働き夫婦であっても育児・家事は結局、妻が多く負担するという問題も浮き彫りになっています。
こうした問題に、独自に取り組む企業もあります。2人の娘を育てている田中さん夫婦の勤務先では、ある研修が導入されています。
田中夏子さん「夫と妻がどれくらいの比率で(家事・育児を)やっていますか?って」
会社から与えられた課題では、まず、育児・家事の分担について、夫婦2人で答えなければいけません。
田中辰憲さん「嫁が育休中で、私が仕事に出ている構図になっているので、ほぼ嫁が全部やっている状況ですね」
課題でピンクに塗られた部分が、夏子さんの育児・家事の時間。夫婦の分担を目に見える形にするのが狙いです。
さらに、夫婦2人での参加が必須のセミナーもあります。
講師「見えない家事という言葉があるくらい、実は表面的な言葉以外に、やらないといけない作業って、たくさんあります。ポイントは自分にしかできない仕事を減らしていくということ」
男性側の当事者意識を育てることが目的だといいます。
セミナーが終わり、田中さん夫婦は意見を話し合いました。
辰憲さん「(講師が)全部、妻というのがダメだって言っていたから、1個でも埋まるように。どれをもっと(俺の分担を)増やしてとかある?」
夏子さん「う~ん、そうね。できれば全部やってほしい」
■専門家「会社の介入は、すごく必要なもの」
こうした企業の取り組みについて、専門家は。
相模女子大学大学院・白河桃子特任教授「子育てをどう2人でやっていきますかっていうことを、話し合うということに、会社が介入している。私はすごく必要なものだと思ってます。(これまで)政府が一生懸命、支援してるのは、お母さんがやる子育てを一生懸命、支援しているんですね。周りの方々への支援というのも当たり前にあってほしいと思っています」
本当に“子育てをしやすい”日本にするために、政府や企業の実行力がいま、問われています。