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「橋渡し役」「中国の脅威」で……安倍元首相“外交”で存在感 米印首脳と深い親交、中ロと懸案も 死去で中韓の思惑、今後の影響は?

2022年7月12日 10:57
「橋渡し役」「中国の脅威」で……安倍元首相“外交”で存在感 米印首脳と深い親交、中ロと懸案も 死去で中韓の思惑、今後の影響は?
米中首脳の隣で…サミットで存在感

外交での存在感が際立っていた安倍元首相。海外の首脳と親密な関係を築き、自らの構想で関係国をリードしてきました。死去を受け、今後の日本の外交について中国と韓国が注視しています。両国では今回の事態をどう受け止め、影響を分析しているのでしょうか。

■米中首脳の隣で…サミットで存在感

有働由美子キャスター
「アメリカの雑誌『タイム』は、安倍元首相を次号の表紙にすると明らかにしました。2019年、大阪で開かれたG20サミットでは、トランプ大統領(当時)や習近平国家主席の隣で並び、会議をまとめた姿も印象的でした。外交での存在感が際立っていましたね」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「勘どころを押さえていたということが言えそうです」

「まず、アメリカのトランプ前大統領について。2018年のG7サミットでは、トランプ氏とヨーロッパ首脳との間にギクシャクしたムードがありましたが、安倍元首相がトランプ氏と深い関係を築いて橋渡し役にもなったことで、存在感を示していました」

■「自由で開かれたインド太平洋」構想

小野委員
「インドも味方につけました。モディ首相とは親交がとても深く、お互いの地元や別荘に行くような仲でした。インドは大国で、外交方針は非同盟。つまりどの国とも『付かず離れず』で、付き合いが難しい国です。その首脳の心をつかんでいたのは大きかったです」

「さらに、中国の脅威について。ヨーロッパが中国とのビジネス拡大を進めようとしていた時に、安倍元首相は中国の圧力が増していることを訴え、『自由で開かれたインド太平洋』という構想を打ち出してリードしました」

「ただ、それでもなお中国の軍事的脅威は増大しています。対ロシアでも経済協力に突き進んでお金もつぎ込みましたが、北方領土交渉は暗礁に乗り上げました」

■日本の外交どうなる…中韓の思惑は?

小野委員
「この先の外交をとても気にしているのが、中国と韓国です」

「中国の共産党系メディアは『安倍元首相の遺志を継ぐという旗を掲げて憲法改正の議論を加速させる可能性もあるとの見方もある』と伝え、憲法改正をけん制しています」

「韓国は、日韓関係への影響を心配しています。韓国メディアは『関係改善は簡単ではない』という見方を伝える一方で、『岸田首相は強硬な保守派の影響力から少し距離を置いて両国間の懸案に柔軟性を発揮できる可能性がある』との分析を紹介しています」

「日本政府としては、関係改善のボールは韓国にあるとの姿勢は変わりませんが、韓国側は日本の政界の動きを注目しています」

有働キャスター
「今、私たちはウクライナ情勢を見ると『平時の外交』がいかに大切かと痛感しています。安倍元首相のもとで長く外務大臣を務めた岸田首相には、その経験を生かして日本の安全を守る外交をしてほしいです」

(7月11日『news zero』より)