円安“急速な進行”に憂慮「必要なら適切な対応を」 官房長官 午前会見(6月13日)
松野官房長官は13日午前の会見で、円安が進んでいることについて「急速な円安の進行が見られ、憂慮している」とした上で、「各国通貨当局と緊密な意思疎通を図りつつ、必要な場合には適切な対応をとりたい」と述べました。
<会見トピックス>
▽円安
▽北朝鮮
▽WTO閣僚会議
▽日米韓防衛相会談
▽水際対策緩和
▽自民・吉川議員離党
▽出産一時金
▽PKO法施行30年
会見の概要は以下の通りです。
――円安について。
週明け13日の東京外国為替市場で、円安ドル高が進み、一時1ドル135円に。20年4か月ぶりの安値水準を更新したが、政府の受け止めと今後の対応は。
松野官房長官
「為替相場はファンダメンタルズに沿って、安定的に推移することが重要でありますが、最近の為替市場では急速な円安の進行が見られ、憂慮をしています。政府としては、日本銀行と緊密に連携をしつつ、為替市場の動向やその経済物価等への影響を一層の緊張感を持って注視をしていく考えであります。その上で、為替政策については、過度の変動や無秩序な動きは、経済や金融の安定に悪影響を与えるといったG7等で合意された考え方を踏まえて、各国通貨当局と緊密な意思疎通を図りつつ、必要な場合には、適切な対応をとりたいと考えております」
――円安に関連。
先日の財務省、金融庁、日銀の3者の臨時会合による初の声明について、為替介入の可能性も示唆したことを受けて、米国の財務省では日本について「為替介入は適切な事前協議を伴う、非常に例外的な状況に限定されるべきだ」と牽制してきている。一連のことがあっても結局、1ドル135円と円安傾向続いているが、日本としての米国の対応への受け止めと今後政府としてどう対応していくか。
松野官房長官
「為替介入について具体的にコメントすることは差し控えますが、いずれにせよ為替政策については先ほど申し上げましたとおり、過度の変動の無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与えるといったG7で合意された考え方を踏まえて、米国をはじめとする各国通貨当局と緊密な意思疎通を図りつつ、必要な場合には適切な対応をとりたいと考えています」
「また米国の為替報告書は、定期的に公表されているものであり、ご指摘の表現については近年の報告書で繰り返し使われてきた表現を踏襲したものであり、何ら新たな見解が示されたものではないと承知をしています」
――韓国軍が北朝鮮がきのうロケット砲と推定されるものを複数発射したと発表。
政府が把握している情報と北朝鮮が今後さらなる挑発におよぶ恐れがあるかどうか分析は。
松野官房長官
「ご指摘の報道については承知をしております。北朝鮮の軍事動向については、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めていますが、事柄の性質上、個々の具体的な情報の内容についてお答えをすることは差し控えたいと思います。いずれにせよ、政府としては、北朝鮮の軍事動向について、引き続き米国韓国等と緊密に連携をしながら、必要な情報の収集・分析および警戒監視を行っていく考えであります」
――北朝鮮の朝鮮中央通信は11日、朝鮮労働党中央委員会総会で崔善姫第1外務次官が外相に就任したと報じた。
崔氏は対米交渉を担い、2018年、19年の米朝首脳会談に同席した人物。政府として今回の人事をどうみているか。拉致核ミサイル問題への影響を含めて伺う。
松野官房長官
「拉致問題や核ミサイル問題への影響を含め、こうした報道の一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、政府としては先ほど申し上げました通り、北朝鮮をめぐる動向について、米国、韓国等と緊密に連携をしながら、重大な関心を持って平素から情報収集、分析に努めており、引き続き注視してまいります」
――WTO閣僚会議について。
およそ4年半ぶりに12日から始まり、初日はロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関連する問題が議論された。食料・エネルギーなどの価格の高騰で多角的貿易体制が揺らいでいるとも指摘されているが、日本政府として今回の会議にどのような姿勢で臨み、どのような成果を期待するか。
松野官房長官
「今回のWTO閣僚会議では、パンデミック対応や食料供給等の喫緊の課題について今後の作業の方向性を閣僚レベルで示すべく、現在現地にて閣僚級交渉が行われているところであります。国際的な危機が生じる中でも、多角的貿易体制の中核であるWTOが、今後もその機能を十分に発揮することが重要であります。今回のWTO閣僚会議においても我が国は、各国と連携して議論に貢献していくとともに、新たな協定の作成に向けたルール交渉において、我が国の利益をしっかりと確保していく考えであります」
――日米韓防衛相会談について伺います。
11日にシンガポールで行われた日米韓防衛相会談の共同声明に、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調すると明記されました。これまで日米の間では度々、台湾問題に言及していますが、韓国も入った3か国の防衛相会談で台湾に言及したのは初めてです。政府としてこのことの意義をどう評価されているか見解をお願いいたします。
松野官房長官
「11日の日米韓防衛相会談の共同声明において、初めて台湾海峡について記載されたと承知しております。台湾海峡の平和と安定は南西地域を含む我が国のみならず、国際社会にとっても極めて重要であります。今回の日米韓防衛相会談でも台湾海峡の平和と安定の重要性について確認されました。我が国としては台湾を巡る問題について、対話により平和的に解決されることを期待するとの立場であり、政府としても引き続き、関連動向を注視していく考えであります」
――水際緩和の共同声明について。
経団連やG7諸国の在日商工会議所は、さらなる水際緩和について、共同声明を発表しました。外国人の個人旅行の早期再開や、G7諸国からの入国ビザについて、免除措置を再開することなどを求めていますが、これに対する受け止めと、入国ビザの免除についての政府の現状認識と今後の方針について伺います。
松野官房長官
「10日、日本経済団体連合会などによる水際対策に関する共同声明が公表されたものと承知をしております。新型コロナ対応に当たっては、平時への移行期間として、最大限の警戒感を維持しながら、徐々に、社会経済活動を回復していく考えであり、水際対策についても、感染拡大の防止と、社会経済活動のバランスを取りながら、段階的な緩和を進めているところであります」
「ご質問の査証免除措置については、現在、全ての対象国地域に対して、一時停止しているところであります。査証免除のあり方を含め、今後の水際対策のあり方については、段階的に平時同様の受け入れを目指していきますが、内外のニーズも踏まえた上で、検疫体制や、防疫措置の実施状況等を勘案し、新型コロナの内外の感染状況や、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら、適切に判断をしていく考えであります」
――共同声明では、このほか、出国前検査において、より負担の少ない検査方法を含め、さまざまな形式での検査証明書の結果の提出を有効な要件とするよう求めています。
出国前の陰性証明についての、政府の考え方と今後の方針についてお伺いします。
松野官房長官
「出国前検査については、我が国の新型コロナウイルスの流入リスクをおさえるため、検疫法に基づき、全ての入国者に対してPCR検査、または抗原定量検査によって、出国前72時間以内に陰性である証明を求めています。出国前検査を含め、今後の水際対策のあり方については、先ほど申し上げました通り、段階的に平時同様の受け入れを目指していきますが、内外のニーズも踏まえた上で、検疫体制や防疫体制の実施状況等を勘案をし、新型コロナの内外の感染状況や、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら、適切に判断をしてまいります」
――吉川赳衆院議員の離党について伺います。
未成年の女性に飲酒をすすめるなどの週刊誌報道が理由で、吉川衆議院議員は、10日夜に自民党に離党届を提出し、受理されました。参院選直前の不祥事で、本人による説明もなされていません。選挙への悪影響は必至かと思いますが、どうお考えでしょうか。
また、自民党の世耕参院幹事長は、先ほどの党会合で、吉川議員の議員辞職を求めました。長官は、議員辞職の必要性についてはどうお考えでしょうか。
松野官房長官
「個別の国会議員の離党等について、政府として、コメントする立場にはありません。一般論として申し上げれば、先週も申し上げた通り、政治家は、国民から疑惑を持たれるようなことがあった場合には、自ら説明すべきものと考えています」
――「出産育児一時金」について、公明党から、現在原則42万円の支給額を50万円に引き上げることを求める声が出ているが、政府の検討状況は。
松野官房長官
「出産育児一時金の支給額については、出産に係る経済的負担の軽減を図るため、現在実施している出産費用の実態調査の結果等も踏まえながら、今後、厚生労働省の審議会において議論されるものと承知をしております」
――PKO協力法について。
今月15日でPKO協力法が成立して30年。この間、日本は多くのPKO派遣を実施してきたが、現状の評価と、課題があるとすればどういったものか、認識を。
松野官房長官
「30年前の国際平和協力法の制定以来、国連PKOを含む世界各地への人的派遣は29件、延べ1万2500名以上が協力を行ってきました。加えて国際機関等への物資協力も30件を実施をしてきました。こうした国際平和協力活動は国際社会の平和と安定への貢献であると同時に、わが国の国益を増進してきたものと認識をしています」
「現在、ロシアのウクライナ侵略により、国際秩序の根幹が脅かされる中、わが国はウクライナや近隣国に寄り添った支援を行っており、その一環として国際平和協力法に基づき、政府の人道救援物資を国連に提供するとともに、国連物資の輸送支援のために自衛隊機を派遣をしています。今後とも、これまでの活動実績の上に立ち、わが国の強みを活かし、能力構築支援を含め、国際平和協力分野において一層協力して貢献していく考えであります」